ミュージカル座 《アイ・ハヴ・ア・ドリーム》 1999年8月29日(日) 12:00 16:30 六行会ホール |
僕は4月に観た《ルルドの奇跡》で、山口秀也・ハマナカトオル・コンビのファンになってしまいました。 名古屋からの新幹線代往復2万円に怯んで《レ・ミゼラブル》は見送ってしまったんですが、彼らの作品上演となればどうしても行かねばなりません。 1999年8月29日(日)六行会ホール 12:00 16:30 (Bキャスト) (Aキャスト) ジャネット:手塚 順子 吉岡 小鼓音 マイク:萬谷 法英 砂山 康之 フィリス:木村 美穂 伊東 恵里 トム:伊藤 信彦 国友 よしひろ リン:片桐 和美 狩俣 咲子 スパイク:高原 達也 竹本 敏彰 プログラムによれば《アイ・ハヴ・ア・ドリーム》は山口・ハマナカ・コンビの最初の共同作品で、97年12月に初演されたとのこと。 ストーリーは1955年アラバマ州モントゴメリーにおけるバス・ボイコット事件を扱ったもの。 黒人公民権運動の歴史に対する直球勝負です。 この手のミュージカルで思い出すのは《李香蘭》なんですが、《アイ・ハヴ・ア・ドリーム》の方が人間が良く書けており押し付けがましさが無いのはハマナカトオル脚本のお手柄でしょう。 ◇バス・ボイコット事件: 1955年アラバマ州モントゴメリーで、42歳の女性ローザ・パークスがバスの白人席に座ったため引きずり降ろされ逮捕された事件。 弱冠26歳のマーティン・ルーサー・キング牧師をリーダーとする黒人たちは1年間にわたりバス・ボイコットを続け、バス会社を倒産寸前まで追い込み、1956年連邦地裁から『バスの人種差別は違憲である』との判決を勝ち取った。 まずマチネを観て意外だったのは《ルルドの奇跡》のような全編音楽(SUNG-THROUGH MUSICAL と言うらしい)ではなく、台詞の部分が多かったこと。 もう少し台詞を削ったほうがいいかと思ったんですが、ソワレを観て、ここがハマナカさんの訴えたい部分だったんだなと思い直しました。 山口さんの音楽は初期の作品らしい力強い音楽に、今回美しい2曲が加えられたそうです。 《レ・ミゼラブル》と《ウェスト・サイド・ストーリー》を思い出させる部分がありましたね。 《オペラ座の怪人》も入っていたかな(お墓の場面)。 でも素晴らしく美しい音楽で、ますます山口ファンになってしまいました。 山口・ハマナカ・コンビの作品は今までに7つあるんだそうですが、その全てを観なくてはね。 チラシにはジャネット役の吉岡さんとフィリス役の伊東さんの写真が同じ大きさで並んでいますが、主役はジャネットでフィリスは脇役の一人ですね。 その主役ジャネットは、マチネの手塚順子さんが良かった。 初めて拝見したんですが、ピンと背筋を伸ばした舞台姿の美しい方でした。 毅然とした態度も、いかにもジャネットにふさわしいものだと思われました。 一方、ソワレの幕が上がって吉岡さんを見たときにまず感じたのは『ジャネット歳を取ったね』。 ウェストが太めで足を開いて立っている姿は、失礼ながら『どすこい』という言葉が頭に浮かんでくるほどでした。 両親のお墓の前での『私にできること』は、さすが元クリスティーヌ(場面設定が似ているんだ)とは思ったんですが‥‥。 混血(32分の1以上黒人)の女工フィリスとバス会社の御曹子のトム(白人)が婚約するという設定には少し無理があるような気がしました。 それだけにこのカップル(特にトム)には役作りが難しい面もあったでしょう。 このカップルはソワレの方が雰囲気が出ていましたね。 マチネのトムは怖かった (^_^;。 伊東さんは可憐な舞台姿で、フィリスにぴったり。 歌声を聴いているだけで、ジーンとしてしまいます。 他にも不良グループ『キッズ』、アネットの店の女工たちなど数多い登場人物がそれぞれの個性を持っているのには感心しました。 カーテンコールで一人一人が思い出せるのね。 題名となっている『アイ・ハヴ・ア・ドリーム』という言葉はキング牧師の有名な演説なんだそうで、このミュージカルはキング牧師の話かと予想していたんですが、キング牧師本人は登場しませんでした。 写真と声は出たけれど。 それからこの演説がされたのは1963年のワシントン大行進の時だそうですから、1955年のバス・ボイコット運動とは無関係ということになり、このミュージカルの題名としてはどうでしょうか? 終演後、品川から京浜東北線に乗っていたら、大雨と雷のため列車が止まってしまいました (@o@)。 劇場から出るときはまだ大丈夫だったのに、危ないところでした。 朝は浜名湖から富士山が見えるほど晴れていたのに。 そして、東京駅では大雨のため新幹線も止まってしまいました (@o@)。 止まっているうちに、もうこのレポートが完成してしまいましたよ(byモバイル・ギア)。 たった今『東京〜横浜間の線路の安全確認が終了しました』という社内放送が入りました。 東京 発 22:00(1時間43分遅れ) 新横浜からも大勢の人が乗り込んできて、自由席は大混雑です。 名古屋着 0:05。 最終の地下鉄(0:07)には間に合わず、タクシーで帰宅しました。 |