《ブルーストッキング・レディース》 『青鞜』を生きた女達
 1999年9月18日(土)6:30PM 大阪リサイタルホール

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 我が家(名古屋市千種区)の近くに大杉栄・伊藤野枝と一緒に甘粕大尉に虐殺された橘宗一少年のお墓(慰霊碑?)があることもあって、このミュージカルには興味がありました。
 昨年の東京は時間的にも経済的にも遠く断念したけれど、大阪は近い (^_^) 。

 《ブルーストッキング・レディース》『青鞜』を生きた女達
 1999年9月18日(土)6:30PM 大阪リサイタルホール

 残念ながら、このミュージカルはあまり感心しなかった。
 何より脚本が弱いような気がする。

 最初の場面は『青鞜』が発刊されたと喜ぶ平塚明子(はるこ)たち。
 次の場面が、鹿鳴館でレイプされて自殺したという亡霊(女二人)が、型どおりの(僕には陳腐と思われる)フェミニズムを語る。
 で次の場面は、『青鞜』が行き詰まってきたと悩むメンバーたち。
 次は『明子さんが好き』というレスビアン(小田和美)の歌。

 これでは単なるエピソードの羅列に終わっているような気がする。
 こういう材料から、どういうドラマを作り上げるかが作者の才能だろう?
 昨年名古屋で見た《ブルーストッキングの女たち》という演劇の方が、ずっと面白かった。

 甲斐正人さんの音楽は難しかったね。
 ミュージカル座の山口秀也さんが『日本のロイド=ウェッバー』なら、甲斐さんは『日本のソンドハイム』か。
 僕は山口さんの音楽の方がずっと好きだな。

 青鞜メンバーの名前が実名の人と仮名の人がいるけれど、何か意味のあることなのだろうか?
 僕は混乱するだけだ。
 一応メンバー表を書いておこう。

 平塚らいてう(明子・はるこ):柴田智子
 保持研子(やすもちよしこ) :田中雅子
 伊藤野枝(いとうのえ)   :北村岳子
 神山律子(神近市子)    :朝香じゅん
 小田和美(尾竹紅吉)    :加来陽子
 長沼千恵(長沼智恵子)   :森川美穂
 与謝野晶子         :石富由美子

 勉強のため瀬戸内晴美『美は乱調にあり』(角川文庫・500円)を読んだけれど、長沼智恵子は出てこない。
 プログラムによれば、創刊当初挿し絵で活躍したそうだ。
 与謝野晶子は創刊号にも寄稿しているようだ。

 『美は乱調にあり』によれば、平塚らいてうは端麗な美貌の持ち主で、男も女もすぐに惹き付けられてしまったそうだ。
 伊藤野枝も美人だったそうで、申し訳ないが、今回のキャストではその辺が不十分というか、説得力が無いというか‥‥。

 長沼智恵子は実際以上に大きい役割を与えられているんだが、森川美穂さんはモーリーンが入っていたね。
 懐かしかったよ (^_^) 。
 
 
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