プラハ国民歌劇場《カルメン》 1999年10月31日(日)3:00PM |
プラハ国民歌劇場《カルメン》 1999年10月31日(日)3:00PM 愛知芸術劇場大ホール 指揮:ボフミール・クリンスキー 演出:ヨゼフ・ベドナーリク カルメン:ダグマル・ペツコヴァー ドン・ホセ:ヴァレンティン・プロラート エスカミーリョ:イゴール・ガブリーロフ ミカエラ:アンナ・クオ 僕は《カルメン》はあまり好みのオペラではなくて、ウィーンのバルツァやメットの来日公演などいろいろ見たけれど、けっこう退屈してしまうことが多いんです。 しかし、今回の上演にはまったく退屈することなく、引き込まれてしまいました。 有名なソリストなしでもこれだけの舞台を作り上げることが出来るところが、オペラの魅力ですね。 まず挙げるべきはヨゼフ・ベドナーリクの演出。 コンセプトは『処刑を前にしたホセが、カルメンとの物語を回想する』ということでしょうか。 各幕の前奏曲の間に牢獄の中での生活が演じられます。 舞台装置はクプファーを思い出させる無機的・金属的なもの。 中でも、僕が感嘆したのは第二幕。 『花の歌』を歌うホセの後ろに、いつのまにか囚人たちが現れます。 過去と今が混在したこの場面は『牢獄でホセがカルメンとの物語を回想する』というコンセプトが最も効果的に現れた場面でしょう。 第四幕の闘牛士の入場では、ブルノ歌劇場公演では闘牛士たちは現れず、最後にエスカミーリョが独りで現れておかしかったんですが、今回の演出では闘牛士の服装をしたバレリーナが現れます。 彼は舞台中をはね回り、50人位の闘牛士が現れたような活躍です (^_^) 。 そうそう、バレエは途中にも出て来てクルクル回っているんですが、けっこう無意味なところがまた面白い (^_^) 。 そしてやがてホセとカルメンの二重唱になるんですが、ホセは突然信じられない行動に走ります。 カルメンの服を脱がせちゃうのね (@o@)。 もう、オペラグラスが離せませんですよ (^^ゞ。 で、下着姿のカルメンの顔を何度も泉の水につけたり、殺した後は泉の中にカルメンの死体を横たえます。 水が入っているんだよ!! やがてカルメンの死体と群衆は奥に去り、舞台にはホセと兵士たちが残ります。 ホセは客席に背を向けて立ち、カヴァラドッシのように銃殺されて終わります。 なんという見事なコンセプトの集結でありましょう。 カーテンコールでカルメンが下着姿のままで現れたのには本当に驚きました。 スタイルに自信があるのでしょうか (^_^;? もう一人のカルメン・ドマシェンコの方が美人みたいだから、こういう演出なら彼女でも見てみたかったものです (^_^;。 僕は最近流行の演出家の独りよがりな演出は大嫌いですが、このような作品の本質をちゃんとつかんだバリエーションは好きですね。 でも、ロビーでは否定的な意見も多かったけれど (^_^;。 カルメンは声量もあり、演技も良かったんじゃないでしょうか。 ホセとエスカミーリョはルックスもピッタリで、満足。 僕のお目当てアンナ・クオさんのミカエラはどうだったでしょうか? 僕はファンなので冷静な判断が出来ませんよ (^_^;。 エスカミーリョなんか、会場が大きいこともありこちらから聴きに行く感じなんですが、クオさんの声はスッと心に入ってきます。 カーテンコールでは、ミカエラ・ホセ・カルメンに、コーラスから拍手が起こっていました。 |