バーンスタイン/ミュージカル 《キャンディード》
1999年11月24日(水)6:30PM 愛知県芸術劇場大ホール

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  バーンスタイン/ミュージカル 《キャンディード》
    1999年11月24日(水)6:30PM
      愛知県芸術劇場大ホール

      指揮:佐渡 裕   ナレーター:橋本 邦彦
 キャンディード:吉田 浩之  クネゴンデ:日紫喜 恵美
 マキシミリアン:黒田  博   バケット:佐藤 まどか
 パングロス/マーティン:福島 明也
 オールドレディ:郡 愛子
 総督/ヴァンデルデンドゥール/ラゴツキー:田中 誠

   シンフォニーオーケストラ『響』& 合唱団『響』
   びわ湖ホール声楽アンサンブル
   名古屋芸術大学有志

 まず驚いたのはお客さんが少なかったこと。
 大きな会場に、ざっと600人くらいかな。
 3階席(一般の会場の2階)なんか一人もお客さんがいないんだもの (@o@)。
 一方、舞台上には150人くらい(合唱団80人)という大人数。
 何ともアンバランスな風景であった。

 ナレーターの橋本邦彦さんは劇団四季、フリージャーナリストを経て、現在はシドニー在住という人。
 この人が内容の説明をしながら、物語が進んでいく。
 ナレーションは『定説』『神奈川県警』などの最近の話題も取り入れた軽妙なもの。

 ストーリーは支離滅裂で説明しにくいが、ヴォルテールの小説『キャンディード』をベースに、マッカーシズムの嵐が吹く当時のアメリカの世相に抗議したものだそうだ。

 ドイツの片田舎の領主の私生児キャンディードが、様々な冒険の後でクネゴンデ姫と結ばれる、というのではあまりにも簡単すぎるだろうか (^_^;。

 今回は、作曲者自ら演奏会用として編集した台本による公演らしい。
 コンサート形式の日本語公演。
 歌手はマイクを付けていたが、歌詞は聞き取りにくかった。

 キャンディード役の吉田さんを聴いていて思ったんだが、同じマイクを付けるのなら、山口祐一郎さんや岡幸二郎さんなど、ミュージカル歌手の方が立派な声なのではないだろうか?

 クネゴンデには有名なコロラトゥーラのアリアがあり、日紫喜さんは盛大な『ブラヴァ!』を受けていた。

 僕が一番気に入ったのはマキシミリアン役の黒田博さん。
 芝居っ気はあるし(オカマ役とか (^_^;)実に内容のある声で、《レ・ミゼラブル》のジャベールにスカウトしたいものだと思った。

 佐渡裕さん指揮するオーケストラはなかなかの出来かと思った。
 バーンスタイン亡き後、佐渡さんが《キャンディード》の第一人者となるのであろうか。

 それでもこの公演が僕にとってあまり面白くなかったのは、このミュージカルのストーリーがあまりにも分かりにくいというか、馬鹿馬鹿しいものだったからだろう。

 ナレーションは面白かったが、その間物語が止まってしまう。
 演奏会形式の限界のようなものも感じた。

 とはいえ、滅多に聴くことの出来ない作品を高いレベルで上演していただいたことには感謝したい。
 6時30分開演。 20分の休憩を挟み全二幕。
 終演は9時15分であった。
 
 
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