ニューヨーク・オペラとミュージカルの旅 96年5月3日
96年5月3日(金)8PM 9)《RENT》 その1

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 ニフティ・ミュージカルの会議室でオフ・ブロードウェイで大ヒットした《RENT》が話題になり、原作となったオペラ《ラ・ボエーム》ファンの僕としては大変興味がありました。
 また、作者のジョナサン・ラーソンがゲネプロの前日に急死したことでも話題になっていました。

 僕は初めてのNY旅行を前に僕はチケットの手配を「カーテンコール」に依頼していたんですが、《オペラ座の怪人》が取れず、5月3日が空いてしまいました。

 で、パラパラと見ていた『シアター・ガイド』で《RENT》BWに進出!という記事を見つけました。
 この記事によれば、急遽ブロードウェイに進出が決まり、どうもGWの頃にオープンするらしい。

 で、すぐに電話に飛びついて「カーテンコール」に依頼したら、取れたんですね空いていた5月3日の《RENT》が (^_^) 。

 ネダーランダー劇場で《RENT》がオープンしたのは、『地球の歩き方・ニューヨーク』によれば1996年4月29日ということなので、僕は公演開始5日目に観劇したことになるようです。

 初めてBWで《RENT》を見た数10人のうちに入っていると思うんですよ。


 《RENT》 1996年5月3日(金)8PM ネダーランダー劇場

     ロジャー・デイヴィス:アダム・パスカル
       マーク・コーエン:アンソニー・ラップ
        トム・コリンズ:ジェッセ・L・マーティン
 ベンジャミン・コフィン・Jr:テイ・ディッグス
  ジョアン・ジェファーソン:フレディ・ウォーカー
   エンジェル・シュナート:ウィルソン・ジャーメイン・ヘレディア
      ミミ・マーキース:ダフネ・ルービン・ベガ
   モーリーン・ジョンソン:イディナ・メンゼル

 その他・全15名。
 アイコ・ナカソネという日系のメンバーもいました。

 ネダーランダー劇場はBW劇場街でも、南の端のほう、41st. ST. に面している。
 向かいには壊れかけたビルが放置されていて、少し怖い感じがする。
 劇場の中は、比較的新しい内装。

 劇場に入ると、舞台にカーテンは無い。
 抽象的なセットで、舞台中央に椅子とテーブル(これがロジャーたちのロフトであろう)。
 左手にミュージシャン(ギター・キーボード・ドラムで5人だったと思う)。
 その上に鉄骨で小さいステージが組まれ、そこから舞台後壁にかけて、ブリッジが渡されている(『ソワレ・5月号』にここでミミが歌っている写真が出ている)。
 そして、舞台からブリッジには細い階段がかけられている。
 分かるかな? 説明が難しい(^_^;。

 客席は満席。
 ラフな格好をした人が多い。

 第一幕は、ロジャーとマークの部屋。 クリスマス。
 マークの説明の歌で始まるが、歌詞の内容は、当然何も分かりゃしません。
 で、休憩時間に思い切って、隣のおじさんに、疑問点を質問してみました。

 そのおじさんが言うのには『お前たちは日本人か? それならワイフを連れてくれば良かった。彼女は陶芸修行のため、日本に2年間住んでいて、日本語ペラペラ』。
 それは残念なことだった。
 彼女がいれば、どれほどこのミュージカルに対する理解が深まったことだろう。
 でも、このおじさんは親切な人で、いろいろ教えてくれた。

 地図でイーストビレッジを見ると、A Ave. B Ave. C Ave. という通りがあるが、おじさんの話では、このあたりが『アルファベットシティ』と呼ばれる場所で、そこがこのミュージカルの舞台なんだそうだ。
 イーストビレッジ(危険だから立ち寄るな、とガイドブックに書いてある)でも、特に貧しい場所のようだ。

 登場人物は、下敷きにしているプッチーニのオペラ《ラ・ボエーム》との関係で、割と理解しやすい。
 《ラ・ボエーム》はちょうど100年前に初演されたんだそうだが、舞台となっているのは、パリの屋根裏部屋。
 パンクロッカーのロジャーは、《ボエーム》では詩人のロドルフォ。
 SMクラブのダンサーのミミは、《ボエーム》ではお針子のミミ。
 これが第1のカップル。

 ビデオアーティストを目指すマークは、《ボエーム》では画家のマルチェルロ。
 その恋人のマーリーンは、《ボエーム》ではムゼッタ。
 これが第2のカップル。

 ハイテク哲学者のコリンズは、《ボエーム》では哲学者コルリーネ。
 となると、ドラッグクィーン(ゲイ)のエンジェルは《ボエーム》では音楽家のショナールか?
 これが第3のカップル。
 しかし、コルリーネとショナールが同性愛とは、気持ちが悪い話だ(^_^;。

 ここまでは分かるんだが、このミュージカルにはそれ以外にも多くの友人たちが現れるものだから、人間関係がよく分からなくなったりする。

 このミュージカルを見てまず圧倒されたのが、ジョナサン・ラーソン作曲の音楽。
 彼が書きたかったのは、ロックミュージカルだそうだが、その音楽は、ハードロックを中心として、レゲエ、バラード、ゴスペル、タンゴ等々、実に魅力的なナンバーが並んでいます。。
 しかしジョナサン・ラーソンは、1月25日、オフブロードウェイにおけるファイナル・リハーサルの数時間後に、大動脈瘤破裂で死亡してしまいました。
 翌日が初日だったのに、そして成功、賞賛は目の前だったのに。
 何というむごいことでしょう。

 また、キャストの歌唱力が素晴らしい。。
 こんな声で歌われたら、どんな曲でも名曲に聴こえてしまうんじゃないか?
 全員で歌うロックナンバーなんか、すさまじい迫力だった。

 
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