ニューヨーク・オペラとミュージカルの旅 96年5月4日
13) 《ミス・サイゴン》

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 《ミス・サイゴン》 1996年5月4日(土)8PM ブロードウェイ劇場

         エンジニア:ルオヨング・ワン
             キム:ジョアン・アルメディラ
            クリス:ティレイ・ロス
            ジョン:ノーム・レーヴィス
            トゥイ:マイケル・K・リー
            エレン:ミスティー・コットン

 エンジニアは、中華人民共和国出身。
 細身で、歌も踊りも上手。

 キムはフィリピンのセブ出身。
 レア・サロンガに似ている。

 クリスは代役だったが、これが僕のイメージにぴったりのクリス。
 トゥイはNY出身の東洋人。

 僕はもともとこのミュージカルが大好き。
 日本とロンドンの舞台を観て、残るは、さしあたりBW。
 昨年ロンドンで観た舞台は、日本公演に較べ、たがが緩んだ感じで、がっかりしました。

 さて、ブロードウェイの舞台は、東京やロンドンに較べると、装置がシンプルです。
 酒場のシーンなんか、兵隊は台に載らず、小走りで出てきます。
 でも、すぐ舞台に引き込まれ、そんなことは少しも気になりませんでした。

 ジジの 《THE MOVIE IN MY MIND》 を聴いていて「HE TAKES ME TO NEW YORK」というところで、突然気が付いたんですが、彼女が夢に見て、結局は行くことが出来なかったであろうニューヨーク。
 そのニューヨークで我々はこの舞台を観ているわけだ。
 これは一体なんだ?

 考えてみれば、NYの観客には(今は観光客が多いとはいえ)、ベトナム戦争に行った人も多いはずだ。
 舞台の上のアメリカ兵は、今の観客なんじゃないか?
 ジョン(武蔵丸に似ている)が歌う《ブイ・ドイ》は、この会場のアメリカ人に向けて歌われたものじゃないのか?
 「THEY ARE ALL OUR CHILDREN TOO」と。
 などと思い至ったら、どのシーンにも泣ける泣ける(^_^;。
 何より、キムはタムをこのアメリカに送るために、自らの命を絶つんだから。

 《レント》は AIDS 時代のNYを代表するミュージカルと言われているんだが、この《ミス・サイゴン》も、フランス人によって創られたロンドンミュージカルとはいえ、ある時代のアメリカを代表するミュージカルなんじゃないか?

 前にも書いたように、どのシーンにも泣けたんだが、特にタムがカーテンから飛び出してきてからは、全然ダメね(^_^;。
 やっと愛するキムと結婚できると思って来たトゥイの気持ちも分かるし、子供を守るキムの気持ちも分かる。

 第二幕のバンコクの場面で、眼鏡をかけて、カメラを下げた東洋人が、会場に向かってフラッシュをたいて、帽子を取ってお辞儀をするの。
 すぐ日本人だと分かって、場内爆笑。 まいったな(^_^;。
 ロンドンでは、こんな場面は無かったような‥‥

 キャストはどの人も上手。
 僕としては、大好きな《ミス・サイゴン》の、理想的な舞台を見せていただいて、すこぶる満足でした。

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