カプツィーナー教会のカイザーグルフトには、ハプスブルグ皇帝代々の棺が収められている。
入口でカプツィーノ色の僧衣を着た神父さんに、入場料を払う。
少し先に行った右側に、地下に降りる階段がある。
ここはガイドツアーは無い。
しかし、重要な棺にはプレートが付いているので、まあ分かり易いんじゃないか。
ここで、シュテファン寺院のガイドツアーで得た情報をもう一度書いておく。
ハプスブルグ家の人々は死ぬと解剖され、心臓はアウグスティナー教会、それ以外の内臓はシュテファン寺院に納められた。
しかし、このような残酷な習慣は、フランツ・ヨーゼフによって中止された。
このような処理を受けたのは、彼の祖父が最後である。
だから、エリザベートもフランツ・ヨーゼフもルドルフも WHOLE BODY IN ONE
PIECE で、カプツィーナー教会のカイザーグルフトに収められている。
ただ、最後の皇帝カール一世のツィタ皇后の心臓だけは、彼女の希望で彼女が住んでいたスイスに埋められている。
入口の階段を降りたところを左に曲がると、マリア・テレジア夫妻の巨大な棺がある。
中には観光客が結構多い。
スペイン人(?)の団体がいて、大きな声で説明をしていた。
マリア・テレジアの棺を過ぎたところを右に曲がると真新しい銅製のツィタ妃の棺がある。
僕は今、グリセール・ペカール著の『チタ・ハプスブルグ最後の皇妃』という本を読みかけているんだが、このツィタ(ZITA)という人は、ちょっと気の毒で途中から本も読めないほどの、すごい人生を送っている。
彼女はハプスブルグ家最後の皇帝、カール1世(フランツ・ヨーゼフの弟の孫)の皇后で、1989年に97才でスイスで死去し、彼女の亡骸はその年の4月1日に、このカイザーグルフトに収められたというから、つい最近のことだ。
夫のカールは大西洋のマディラ島で1922年に34才という若さで、医療費も払えないという極貧のうちに死亡し、マディラ島に葬られているようだ。
さて本題に戻って、その奥の部屋にフランツ・ヨーゼフ一家の棺がある。
大理石の台の中央、一段高いところにフランツ・ヨーゼフ、左にエリザベート、右にルドルフの棺が並んでいる。
彼らの棺には、花や旗が掛けられ、他の棺に較べると段違いに華やかだ。
棺には自由に触れるので、冷たいエリザベートの棺に触って、この中にあのシシーが
WHOLE BODY IN ONE PIECE で眠っているのか、という感慨に浸れるのがゆかりの地ツアーの醍醐味だ。
5〜6人いれば、棺のふたを開けることが出来そう。
しかしここは世界の歴史に名前を残す人々の棺がいっぱいだ。
ミュージカル《エリザベート》関係では、ゾフィー皇太后の棺は、フランツ・ヨーゼフ一家の奥の部屋の右の奥。
フランツ・ヨーゼフの弟、メキシコ皇帝として処刑されたマキシミリアンの棺は奥の部屋の中央。
その向かいが、ナポレオンの皇后、マリー・ルイーズ。
もう止めておこう、きりがないから。
カイザーグルフトを出て、王宮に向かう。
王宮では、カイザー・アパートメントを見学した。
時間がないので、ガイドブックを片手にひたすら歩く。
ミュージカル《エリザベート》の1幕最後に出てくる、有名なヴィンターハルターの絵は見逃すことが出来ない。
カイザー・アパートメントを出て、裏にあるフォルクス・ガーデンへ。
並木道の通路を歩いていくと、花壇の向こうに、有名なエリザベートの座像が見える。
周りのベンチで、くつろいでいる人が多い。
ここでタイムアップ。
夕食は『アウグスティナーケラー』でウィンナーシュニッツェルを注文したが、これは油っぽくて、あまりお薦めできない。
夜はシェーンブルン宮殿の野外オペラ《ドン・ジョバンニ》。
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