バッハ街道の旅(24・終)2000年5月7日(土)
フランクフルト歌劇場 《さまよえるオランダ人》

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 14:49 アイゼナッハ → 16:38 フランクフルト

 さて、今回の旅行最後のオペラ観劇は、フランクフルト歌劇場の《さまよえるオランダ人》だ。
 僕は今までにこのオペラを2回しか観たことがないんだが、前日のヘッセン州立劇場に続いて、二日連続で当たってしまった (@o@) 。

 フランクフルト歌劇場は中央駅から地下鉄で1つ目のウィリー・ブラント・プラッツにある。
 当日券の発売は1時間前ということで、1時間半前の6時ころ劇場に到着。
 待っている人は5人くらいかな。
 発売開始の6時半には20人くらいになった。
 日本からのFAX予約に返事がなかったし、『売り切れか?』と心配したが、当日券は結構余っていた。
 当日券は割引があるようだ。

 会場前に前の広場(ゲーテとシラーの像が建っている)を散策。
 この広場には大きな木が立っていて、満開の花から綿毛様のものが飛んでいる。
 通りかかったお姉さんに気の名前を聞いたところ、返事は『カスタニエ』とのことであった。
 辞書を引くと『Kastanie』は『栗』とか『橡(とち)』となっているが、栗の花なんだろうか?

         《さまよえるオランダ人》 フランクフルト歌劇場
      2000年5月7日(日)19:30開演 休憩なしで2時間15分
     2 Rang Halbmitte Rechts Raihe 3 Plat 41 35マルク(1750円)

            指揮:カテリーネ・リュックヴァルト
            演出:アントニー・ピラヴァッキ

           ダーラント:アンドレアス・マッコ
              ゼンタ:ニナ・ヴァッレン
             エリック:ジェフリー・ドウド
           オランダ人:テルジェ・ステンスヴォルド
              マリー:エルツビータ・アーダム
             舵取り:ペーター・マーシュ

 フランクフルト歌劇場は近代的な建物で、会場の入りは8〜9割。
 演出のピラヴァッキは、昨年ベルリン・コミッシュ・オパーの《サウル》で多大な感銘を与えてくれた演出家なので、大いに期待していた。

 オランダ船登場の場面では、舞台の両横から壁が出てきて、宇宙船のような空間になってしまった。
 何を考えているのだろう?
 昨日のヴィースバーデンより装置に金はかかっているようだが、演出家の意図が分からない。

 第二幕の糸車の女声合唱は、女学校の音楽の授業。
 白いバレエ衣装で、整列して、楽譜を持って歌う。
 マリーは《オペラ座の怪人》のマダム・ジリーだ。
 ハンブルクの《ローエングリン》で、僕の嫌いな演出家ペーター・コンヴィチュニーは舞台を学校にしてしまったそうだが、その模倣か?
 期待のピラヴァッキも、おかしな演出家のサイドに行ってしまったのか?

 この教室の奥には大きな鏡がある。
 まさか《オペラ座の怪人》のようにあの向こうにオランダ人が現れるのではあるまいな? という危惧はそのまま現実のものとなってしまった (^_^;。
 回転扉を手で押して入ってくるところが、《オペラ座の怪人》よりチープな印象になっている (^_^;。

 最後はゼンタは止めるエリックを振り切って、オランダ人と鏡の向こうに行ってしまう。
 そして、2人が鏡の向こうに浮かび上がってフィナーレ。

 指揮のカテリーネ・リュックヴァルトは女流指揮者。
 しかし聞こえてくる音楽は、昨日のウルフ・シルマーとは較べものにならない物足りなさ。
 指揮姿を見てもちゃんと振っているようで、どうしてこんなに違いが出るのか分からないんだが‥‥。
 オケのレベルはなかなかのものかと思った。

 歌手はいずれも力量不足。
 特に主役のオランダ人ね。
 合唱もヴィースバーデンに較べレベルが低い。

 しかし、客席はこんな舞台でも『ブラヴォー!』の嵐。
 『本当にこんなのでいいのか? 隣のヴィースバーデンに行ってみたら?』と僕は言いたかったよ。

 これで『バッハ街道の旅』はお終いです。
 今回の行程はバッハ以外にも見るべきものが多く、ドイツの歴史の奥深さには驚いてしまいます。
 やたらに工事中の建物が多く、これが東ドイツ復興の証なのでしょうか?
 この紀行文がバッハを始めとする音楽ファンの方、これから旅立たれる方の参考になれば幸いです。
 

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