十国峠 (太宰治ゆかりの旅) 2014年 5月11日(日) |
『富嶽百景』 十国峠から見た富士だけは、高かつた。あれは、よかつた。はじめ、雲のために、いただきが見えず、私は、その裾の勾配から判断して、たぶん、あそこあたりが、いただきであらうと、雲の一点にしるしをつけて、そのうちに、雲が切れて、見ると、ちがつた。私が、あらかじめ印しるしをつけて置いたところより、その倍も高いところに、青い頂きが、すつと見えた。
太宰治は昭和13年9月に井伏鱒二に連れられて御坂峠の天下茶屋に逗留しました。 そして、この天下茶屋からの眺めを「風呂屋のペンキ画」だと書いています。 およそ三カ月の天下茶屋の滞在を、太宰は小説「富獄百景」として残しています。 |