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◇初めて《RENT》を観る方に(その1) 《RENT》は疑いもなく大傑作ミュージカルなんですが、『歌詞が分からない』という不満が多いようです。 僕なんかニューヨークで開演直後のこのミュージカルを観て、当然歌詞なんかほとんど聞き取れなかったけれど (^^ゞ、それでも心から感動したんです。 あのときの僕に較べれば、日本語なんだから楽じゃないかと思うんですが‥‥日本語である分、不満がつのるかな? しかし『歌詞が分からない』というだけでこのミュージカルの評価が下がってしまうのはいかにも無念なので、初めてこのミュージカルを観る方のために、分かりにくいと思われる部分について簡単な状況解説を書いてみました。 ニューヨークの東南に位置するイーストヴィリッジにはA・B・Cとアヴェニュー(通り)が並んでおり『アルファベットシティ』と呼ばれています。 『危険なので観光客は近づかない方がいい』とガイドブックに書かれているエリアです。 オープニングの舞台となっているのは11番街とアヴェニューBの角にある音楽出版工房だった建物のロフト(屋根裏部屋)。 時は東部標準時 12月24日 9PM。 まず観客に向かって語り始めるのがビデオ・アーティストのマークです。 ロジャーはCBGBやピラミッドといったライブハウスで活躍したパンクロッカーでしたが、1年前にガールフレンドのエイプリルが『私たちは二人ともエイズね』という書き置きを残してバスルームで手首を切って自殺するという事件があり、それ以来音楽活動を止めて部屋に閉じこもり、ジャンキー(麻薬中毒)生活を送っていました。 しかし、彼は半年前に麻薬を止めることを決意し、禁断症状からやっと抜け出したところです。 舞台上手(右側)で電話をかけてくるのが、彼らの友人コリンズです。 彼は舞台中央(上)に出てくる3人組(だったっけ?)にボカボカ殴られて、倒れてしまいます。 ちょっと分かりにくい場面ですね。 次に電話をかけてくるのが、かってのルームメイトのベニーです。 ベニー役はニューヨークの舞台では黒人によって演じられています。 彼はウェストポート・グレイ家の令嬢アリソン(白人)と結婚し、この建物を買い取り、家賃(レント)取り立ての電話をしてきたのです。 ロジャーが弾いているギターのメロディは、プッチーニのオペラ《ラ・ボエーム》の第2幕で歌われる「ムゼッタのワルツ」です。 ここでロジャーのギターの音がプツンと切れて停電となり、始まるのが『RENT』というロックナンバーです。 舞台下手(左側)で電話をしているのがジョアンヌ。 彼女は弁護士で、マークの恋人だったモーリーン(ストリート・パフォーマー)の恋人です。 レスビアンですね。 この曲の英語の歌詞の最後は『Everything Is Rent=すべては借り物』というんですが、《RENT》という題名にはこのように(家賃だけでなく)いろいろな意味が込められているわけです。 |