蜷川幸雄 《グリークス》 愛知県勤労会館 2000年10月1日(日) 11:00AM〜9:40PM |
オペラではギリシャ神話が扱われることが多いので、ギリシャ神話の勉強のつもりで《グリークス》に行って来ました。 《グリークス》 演出:蜷川幸雄 「10本のギリシャ劇によるひとつの物語」 2000年10月1日(日) 愛知県勤労会館 開演は11:00AM。 御存知かとは思いますが、この作品はホメロス、アイスキュロス、ソフォクレス、エウリピデスによる10のギリシャ悲劇を、3時間ずつ3つの作品にまとめたもの。 途中で、最長60分の休憩をはさんで、終演は9:40PMでした (^_^;。 以下の記事を書くに当たり、Wikipediaのお世話になりました。 第一部「戦争」 プロローグ/アウリスのイピゲネイア(エウリピデス作)/アキレウス(ホメロス作)/トロイアの女たち(エウリピデス作) トロイア王子パリスによって連れ去られたスパルタ王メネラオスの妻ヘレネを奪回するためにギリシャ軍が集結する。 アウリスの港に集まったギリシャの軍は女神アルテミスの力によって風を止められ、女神は総大将アガメムノン(平幹二郎)の娘イピゲネイア(宮本裕子)を生け贄に要求する。 グルックの《アウリスのイフゲニア》ですね。 序曲しか知らないんですが (^_^ゞ。 妻クリュタイムネストラの必死の嘆願も振り切り、総大将として女神の要求に応えようとするアガメムノンの苦しみ。 イピゲネイア本人も遂にはギリシャ軍のために犠牲になることを決意する。 トロイア戦争十年目のある日、勇者アキレウスは側女ブリセイスをアガメムノンに奪われたことに怒り戦線を離脱する。 アキレウスを欠くギリシャ軍はトロイア軍によって壊滅寸前に追い込まれる。 アキレウスの親友パトロクロスはアキレウスの鎧を身につけて抗戦するが、トロイア王子ヘクトルに殺されてしまう。 後悔の念と、大いなる怒りに駆られるアキレウス。 アガメムノンはアキレウスに謝罪し、ブリセイスをアキレウスの元に返す。 アキレウスは戦えば自分も死ぬという予言を知りながらも、戦線に復帰してヘクトールを討つ。 オデュッセウスによる木馬作戦が成功し、ギリシャ軍はトロイアを陥落させ、ヘレネは奪還された。 トロイア王妃ヘカベをはじめ、アンドロマケ、カッサンドラ、ポリュクセネらがそれぞれ奴隷としてギリシャ人の所有物にされていく中、トロイアは焼け落ちる。 第二部「殺人」 ヘカベ(エウリピデス作)/アガメムノン(アイスキュロス作)/エレクトラ(ソフォクレス作) 戦死したアキレウスの霊が風を止めたため帰還できないでいるギリシャ軍。 霊を鎮めるためにヘカベの娘ポリュクセネが生贄として殺される。 更に、トロキア王ポリュメストルに預けていた幼い王子が裏切りにより殺されていたことを知ったヘカベは、女達と結託してポリュメストルを誘い出して彼の目をつぶし、その息子を殺害して復讐を遂げる。 トロイ落城の場面はベルリオーズのオペラ《トロイ人》でしょうか。 トロイの王妃ヘカベ(渡辺美佐子)はほとんど全ての子供や孫を失い本当に気の毒。 神がかった演技で、この部分が最も感銘深かった。 アガメムノンが10年ぶりにミュケナイに帰還するが、かつて長女イピゲネイアを生贄に殺された復讐として、連れ帰ったカッサンドラ共々、妻クリュタイムネストラに殺害される。 クリュタイムネストラは愛人アイギストスと暮らし、次女エレクトラは孤独と憎しみの日々を送っていた。 そこにポーキスへ逃れていた長男オレステスが成長して帰ってくる。 姉弟は手を組んで、母とその愛人を殺し、父の復讐を果たす。 ここは有名なリヒアルト・シュトラウスの《エレクトラ》。 イフゲニアとエレクトラ(寺島しのぶ)が姉妹だったとは驚いた (@o@) 。 弟オレステス(尾上菊之助)ってオペラの最後に出てくるけれど、母クリュタイムネストラ(白石加代子)を殺した後、狂っちゃうのね。 第三部「神々」 ヘレネ(エウリピデス作)/オレステス(エウリピデス作)/アンドロマケ(エウリピデス作)/タウリケのイピゲネイア(エウリピデス作) トロイア戦争の発端となったヘレネは、実はトロイアへは行かずエジプトで暮らしていた。女神ヘラの策略によるもので、トロイアのヘレネは幻だったのだ。一方、トロイアからの帰還途中に船が難破してヘレネを失い、エジプトに流れ着いたメネラオスは、そこで本物のヘレネと再会する。夫婦はエジプト王を欺いて船を奪い脱出する。 母殺しの罪により、復讐の女神にとりつかれたオレステスを看病するエレクトラ。 帰還したメネラオスも二人の味方にはならない。 裁判で死刑を宣告された姉弟は、いとこのピュラデスと結託してヘレネを殺し、メネラオスの娘ヘルミオネを人質にとって館に放火しようとする。 そこへ神アポロンが現れ、ヘレネを新たな女神として連れ去り、オレステス達にそれぞれの進むべき道を示す。 かつてのトロイア王女アンドロマケは、アキレウスの息子ネオプトレモスの奴隷として暮し、二人の間には息子が産まれた。 ヘルミオネは、オレステスと結婚せよという神アポロンの命に背いてネオプトレモスの妻となるが、嫉妬からアンドロマケを殺そうとする。 神託を成就しようとするオレステスらはネオプトレモスを殺し、ヘルミオネを連れ戻す。 孫の死を悲しむ老ペレウス。 そこへアキレウスの母である海のニンフ、テティスが現れ、神ゼウスによって永遠の命を得た夫ペレウスを連れこの世を去っていく。 残されたアンドロマケは生きる気力を取り戻し、幼い息子に未来を託す。 アウリスで生贄にされたはずのイピゲネイアは、実は女神アルテミスに救われてタウリケで巫女になっていた。 そこへ偶然訪れたオレステスとピュラデス。 再会した姉弟は女神アテナの助けを得て逃亡し、自由の身となる。一族への呪いはついに終わり、人々は平和を喜び合う。 《エジプトのへレネ》はリヒアルト・シュトラウスのオペラなんでしょうか? 《アンドロマケ》はラシーヌの戯曲。 最後の『タウリケのイピゲネイア』はグルックの《タウリスのイフゲニア》ですね。 ということで、トロイ戦争とミュケナイ王家の悲劇については一応の知識を得ることが出来ました。 11時間近く座り続けた甲斐もあるというものでしょうか (^_^;。 でも、昨年名古屋のスタッフで上演された《アンチゴネー》の方が、ギリシャ劇らしい舞台だったような気もします。 次はオイディプス王を始めとするテーバイ王家の歴史を『グリークス2』として上演していただきたいものです (^_^) 。 |