名古屋二期会《修道女アンジェリカ》  芸術創造センター
2004年11月13日(土)5:00PM 14日(日)1:00PM 5:00PM

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◇名古屋二期会《修道女アンジェリカ》(04/11/13・14)

 プッチーニの『三部作』は昨年「堺シティオペラ」で見ましたが、《外套》《ジャンニ・スキッキ》に較べ《修道女アンジェリカ》は印象が薄い作品でした。
 7年前に許されぬ子供を産んだ貴族の娘アンジェリカは修道院に閉じこめられたが、訪れた伯母の公爵夫人からその子供の死を聞かされ、服毒自殺する。
 こんなストーリーでオペラになるんでしょうか (^_^;?

 かつては名フィルの伴奏で愛知芸術劇場大ホールで公演を行っていた名古屋二期会が、芸創センターで、エレクトーン伴奏の公演とは、どうなってしまったのでしょう?
 プログラム巻頭には「昨今の不況を繁栄して、日本のオペラ上演を取り巻く環境は大変厳しくなっています。助成金は大きく減額され、大きなオペラ公演をすることが非常に困難になってきています」という水谷理事長の悲痛な「ご挨拶」が載っています。

 今回の公演は、あまりお金をかけなくてもアイディアで素晴らしいオペラ公演が出来るというお手本のような公演でした。
 僕は大変感動して、2日間で予定された3公演すべてを見てしまい疲れました (^_^ゞ。

      名古屋二期会《修道女アンジェリカ》
      2004年11月13日(土)5:00PM
               14日(日)1:00PM 5:00PM
        名古屋市芸術創造センター

        指揮:中田直宏  演出:中村敬一
     アンジェリカ:加川文子(13日夜)
             やまもとかよ(14日昼)水谷映美(14日夜)
      公爵夫人:菅沼綾子(13日夜・14日夜)
             夏目久子(14日昼)

 伴奏はエレクトーン2台、パーカッション2人、そしてハープ。
 舞台に大道具はなく、奥中央にスクリーンがあって、そこにスライドが投影される。
 驚いたのは字幕も同じスクリーンに映されたこと。
 パワーポイントみたいなものかな。
 このテクニックを使えば、舞台装置と字幕の問題はパソコンと高性能のプロジェクターがあれば済んでしまう。
 映像だけだから場面転換も簡単で、あっという間に修道院の庭から室内に移動できる。
 何でも映し出すことが出来るから、節度を持たないとやりすぎになる危険性があるけれどもね。

 会場で演出の中村さんをお見かけしたので、突撃インタビューを敢行しました。
 スクリーンに映る映像はリアプロジェクターで舞台裏から映しているそうです。
 前からだと人物の影が映ってしまうとのことで、納得です。
 コンピューターは映像用と字幕用の2台を使用しているそうです。

 演出家の仕事は、あと照明プランと演技指導かな。
 中村さんの演出は当たりはずれがあるけれど、今回はいい仕事をされました。
 修道女たち人物の動かし方が実に巧みです。

 アンジェリカのアリア「母もなく」はリサイタルなどで聴いたことがありますが、オペラの流れの中で聴くと、これほど泣ける曲だったとは。
 プッチーニは泣かせるつぼを心得た、天性のオペラ作曲家です。
 このアリアからアンジェリカの死に至るまでの音楽は、本当に美しさの極みでした。
 
 
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