ミュージカル映画 『RENT』
06年5月10日(日)

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 1996年5月3日に、ブロードウェイ開幕直後の《RENT》を観る幸運に恵まれ、完全にノックアウトされて以来のレントマニアです。

 「まとめ」はこちら ↓
 http://www.nakash.jp/opera/rent/index.htm

 10年経って、いよいよ映画版が公開されました。

 ミュージカルの映画化の成功作といえば《ウェストサイド・ストーリー》や《サウンド・オブ・ミュージック》。

 一方の失敗作は《コーラスライン》や《オペラ座の怪人》。

 期待の《RENT》は失敗作の代表にあげられるほどの失敗作で、レントマニアの僕としては、いかにも無念でした。

      ☆ロジャー:アダム・パスカル
       ☆マーク:アンソニー・ラップ
      ☆コリンズ:ジェシー・L・マーティン
       ☆ベニー:テイ・ディグス
       ジョアンヌ:トレイシー・トムス
     ☆エンジェル:ウィルソン・ジェレマイン・ヘレディア
           ミミ:ロザリオ・ドーソン
     ☆モーリーン:イディナ・メンゼル

 ☆の6人が、ブロードウェイで見たオリジナルキャスト。

 監督のクリス・コロンバスは『ホーム・アローン』や『ハリー・ポッターと賢者の石』などの監督だが、この人が全くダメ。

 ジャナサン・ラーソンの音楽を次々とカットして、セリフにしてしまう。
 この監督はミュージカルというものを知らないのではないか?
 ファンが見たい(聴きたい)のは音楽なんだよ。

 ホームレス達のアンサンブルなどはほとんどカット。
 曲の入れ替えや、原作にはないモーリーンとジョアンヌの結婚式などという場面も作り出し、これでは《エリザベート》の小池修一郎の改竄と同じだ。

 映画を見た人にこれが《RENT》だと思われるのかと思うと、無念でいたたまれない。

 字幕(稲田嵯裕里)は感覚的なものだが、それにしても「AZTブレイク」のところはおかしい。

 ロジャーはミミのことを愛するようになったが、自分がエイズのため、ミミに愛を打ち明けることが出来ない。
 ところが、ライフ・カフェのバカ騒ぎの途中でミミのタイマーがピピッと鳴って、彼女は「AZTブレイク」とつぶやき、ロジャーは彼女がエイズであることを知る。
 AZT(エイズの薬)を飲む時間、ということだからね。

 で、ロジャー 「君?」 ミミ 「私。あなた?」 ロジャー 「ミミ」 というやりとりがあって、二人は気持ちを打ち明け合うわけだ。

 今回の字幕では、その前に ロジャー 「正直に打ち明けよう/だれにも欠点はある/僕はエイズ」、ミミ 「人生は短い/時は過ぎゆく/同じ重荷を分かち合いたい/私もエイズ」という驚天動地 (@o@) の字幕が出て、「AZTブレイク」の場面になってしまう。

 この稲田嵯裕里という人は、「AZTブレイク」から後のやりとりでは、二人がエイズだと理解し合ったことが分からないだろうということでこのような字幕にしたのだろうが、要らぬお節介だ。

 おかげで、このミュージカルで最も重要なクライマックスの一つがずれてしまった。

 10年ぶりに見るオリジナルキャストは10年経っているから10年歳を取っている。
 僕としては懐かしいからこれでOKだが、疑問を感じる人もあるだろう。

 ブロードウェイの舞台ではモーリーンがGパンを降ろして生尻を出したのに仰天したんだが、映画ではそのお尻を正面から見せてくれて、10年ぶりのイディナ・メンゼルのお尻に感動というか‥‥ (^_^;。

 会場にあったチラシによれば、《RENT》の来日公演があるようだ。

東京 11/16(木)〜25(土) 東京厚生年金会館

名古屋 11/28(火)29(水) 愛知勤労会館

大阪 12/1(金) 2(土)  大阪厚生年金会館

チケットスペース http://RENT2006.com

 前回の来日公演は日本人キャストによる『ジャパンレント』と較べても、それほどレベルが高いメンバーとは思えなかったが、今度はどうかな?

 1回にするか2回にするか‥‥
 しばし考えますか。

 
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