新国立劇場 《イドメネオ》
2006年10月22日(日)2:00PM

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 隣の東京オペラシティコンサートホールで「日本音楽コンクール」ピアノ部門の本戦があったので、少しのぞいてみようかと行ってみたら、12時過ぎには当日券の列が出来ていました。

 しかし、残念ながら2時開場なんだそうで、 《イドメネオ》は2時開演。
 1時からコンクールを始めればいいのに‥‥ (^_^ゞ。

東京オペラシティコンサートホール へ 12時過ぎには当日券の列



       新国立劇場 《イドメネオ》
    2006年10月22日(日)2:00PM

      指揮:ダン・エッティンガー
      演出:グリシャ・アサガロフ

     イドメネオ:ジョン・トレレーヴェン
     イダマンテ:藤村 実穂子
      イーリア:中村 恵理
     エレットラ:エミリー・マギー
   アルバーチェ:経種 廉彦
       大司祭:水口 聡
         声 :峰 茂樹

    東京フィルハーモニー交響楽団
    新国立劇場合唱団




 僕は初めて見るオペラが好きなんだけれど、予習する時間は惜しいので、最近は「ぶっつけ本番」ばかり。
 《イドメネオ》も「モーツアルトの失敗作」という先入観で出かけたのですが、これは大変に真摯な内容を持つ重厚なオペラでした。

 1780年、ザルツブルクでくすぶっていた24歳のモーツアルトに、ミュンヘンの宮廷からオペラの依頼が舞い込みます。
 このオペラ《イドメネオ》上演のためにミュンヘンに出かけたモーツアルトは、ザルツブルクに帰ることはありませんでした。
 つまり、このオペラはザルツブルクのコロレド大司教の宮廷から逃げ出すための、モーツアルト渾身のオペラだったのです。


 クレタの王イドメネオはトロイ戦争の帰りに嵐に遭い、海神ネプチューンに「助かったら最初に会った人間を生け贄にする」と誓い、助けられる。
 しかし、彼が浜辺で最初に出会ったのは息子のイダマンテだった。
 ここにトロイの囚われの王女イーリアとイダマンテの愛、横恋慕するエレットラが絡んでくる。

 「助かったら最初に会った人間を生け贄にする」という前提を神話の世界だと納得できれば、イドメネオの苦悩、父親に避けられるイダマンテの哀しみ、そして女性たちの愛の情熱が、生々しい人間ドラマとして受け入れられるでしょう。

 最初の囚われのイーリアのアリアから引き込まれました。
 中村恵理さんは大阪音大出身の方だそうですが、とても良かったですね。

 というか、どのキャストも良かったです。

 最後のエレットラのアリアも、「ストーリーから考えればこのアリアは無くてもいいな」とも思ったのですが、その迫力には圧倒されました。

 指揮者のダン・エッティンガーは良い指揮者かと思いましたが、昨日のアルベルト・ゼッダに較べると少し物足りない面もあったでしょうか。

 演出のグリシャ・アサガロフはチューリッヒ歌劇場の芸術監督だそうですが、抽象的なスケールの大きい、美しい色彩の舞台作りで、全体として大変良い公演かと思いました。
 
 
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