関西歌劇団第89回定期公演 尼崎アルカイックホール
《カヴァレリア・ルスティカーナ》 《道化師》
2007年10月6日(土)4:00PM

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 関西文化芸術協会の補助金をめぐる不祥事のため活動の継続が心配されていた関西歌劇団が《カヴァレリア・ルスティカーナ》と《道化師》を上演するというので尼崎まで行ってきました。
 当日券売り場には真ん中の方の席が数席しかありません。
 「2階の後ろ(僕の好きな席)は空いているのではないか?」と聞いてみたのですが、「当日券の割り当てはこれだけです」という冷たい返事でした。

 一階席は満席に近い状態でしたが、最後列が空いているのにはムッとしました。
 僕の好きな席だから (^_^ゞ。
 しかし、これは遅刻した人を入場させるための席だと分かり、その思いやりに今度は気分を良くしました (^_^) 。

 関西歌劇団第89回定期公演 尼崎アルカイックホール
    《カヴァレリア・ルスティカーナ》 《道化師》
     2007年10月6日(土)4:00PM

     指揮:牧村邦彦  演出:中村敬一

      《カヴァレリア・ルスティカーナ》
       サントゥッツァ:田中友輝子
       トゥリッドゥ:カン・ヒョンス
         ルチア:小川典子
       アルフィオ:柿木 功
          ローラ:芦田由美子

           《道化師》
         カニオ:林  誠
         ネッダ:福住恭子
         トニオ:田中 勉
         ペッペ:橋本恵史
      シルヴィオ:堀 保司


 《カヴァレリア・ルスティカーナ》というオペラの魅力を、再確認しました。
 最初から最後まで、なんという美しい音楽の連続でしょう。
 そして、無駄な場面がない。

 田中友輝子さんは05年の堺シティオペラ《蝶々夫人》でスズキの重要性を教えてくれた恩人です。
 声楽的には今ひとつかと思ったのですが、舞台が進むに連れ、どんどん引き込まれました。

 僕はサントゥッツァとトゥリッドゥの「捨てないで」「あっち行け」という美しい二重唱が大好きです。
 確かにサントゥッツァはうっとうしい女ですが、今日の田中さんは気の毒で気の毒で、何度も泣かされました。
 演技派なんでしょうか?
 
 カン・ヒョンスさんは韓国のテノール。
 時々声がかすれて、最善のコンディションではなかったようです。

 一方の《道化師》。
 トニオ役の田中勉さんが抜群の出来でした。
 プロローグには声楽的にも演技的にも仰天、椅子から転げ落ちそうになるほど大感激しました。
 世界のオペラハウスに通用するトニオですね。

 カニオの林さんはリリックテノールでしょうか。
 役に合っていません。
 無理をしたためでしょうか、『衣装を付けろ』のクライマックスで声が出なくなってしまったのはお気の毒でした。

 ネッダは肥満体。
 声は悪くないのかな?

 作品的には《カヴァレリア・ルスティカーナ》に較べ魅力的な部分が少なく、無駄な部分が多いと思いました。
 『鳥の歌』なんて不要でしょう。

 牧村さんの指揮棒は軽々と動く。
 僕は指揮棒を少し動かすのにも全力を尽くすような指揮者が好きなんです。

 中村敬一さんの演出は、壁と椅子や旅回りの舞台など、簡素なもの。
 しかし、コーラスの隅々まで演技が付けられ、照明の扱いも巧みで、「オペラはお金じゃない」と思いました。

 僕は、ザルツブルク音楽祭の意図不明のオペラより、この関西歌劇団の公演の方がずっと好きです。
 明日7日(日)にも上演がありますのでお薦めしたいと思い、急いで書き上げました。
 
 
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