堺シティオペラ 《蝶々夫人》 05年9月4日(日)2:00PM |
堺シティオペラは03年のプッチーニ《三部作》を見て、地方オペラならぬレベルの高さに驚きました。 昨年は東京シティ・飯守泰次郎の《ローエングリン》とバッティングしてしまったのですが、今年は栗山昌良さん演出の《蝶々夫人》。 栗山さんの奇をてらわない演出は大好きで、中でも《蝶々夫人》はいつかは見てみたいと思っていました。 JR三国ヶ丘駅に着いたら、突然どしゃ降りの雨が落ちてきました。 台風14号の影響でしょうか? タクシーに飛び込んで、コンビニでかさを買って、ずぶ濡れになって堺市民会館に入りました。
![]() 堺シティオペラ第20回定期公演 《蝶々夫人》 05年9月4日(日)2:00PM 堺市民会館 指 揮:Roberto Zarpellon 演 出:栗山 昌良 蝶々夫人:並河 寿美(なみかわ ひさみ) スズキ :田中 友輝子 ピンカートン:J.Sinadinovic シャープレス:田中 勉 ゴロー:西垣 俊郎 ボンゾ:Krisjanis Norvelis(両日) 管弦楽:ザ・カレッジオペラハウス管弦楽団 合 唱:堺シティオペラ合唱団 期待の栗山演出ですが、正面に長崎港の絵が描かれ、舞台脇には桜の花が咲き、出演者は和服、という全く僕がこの作品に期待するとおりの舞台。 抽象的なニューヨーク・シティオペラの舞台も良かったけれど、このような伝統的な美しい舞台も好ましいものです。 蝶々さんの子供が出てくる場面も、最後の自害の場面も、想定の範囲内ですが、それでも栗山さんの意図が隅々まで行き届いた舞台は素晴らしい。 例えば、「ある晴れた日に」の最後の部分。 歌い終わった蝶々さんはスズキを見つめますが、スズキはあまりにも哀れな蝶々さんの想いにいたたまれず、泣きながら隣の部屋に走り去ってしまいます。 残された蝶々さんは床に置かれたピンカートンの写真を拾い上げ、胸に抱きしめて、拍手となるわけです。 ほかにも細かい演技が付けられ、感心することが多かった。 音楽の面では、前記のニューヨーク・シティオペラや沼尻&大岩コンビの名フィル定期に較べると、少しスケールが小さかった。 まあ、今までに聴いた最高レベルのものと較べてもね。 並河さんはオーディションで選ばれたそうですが、少し左足を曲げて身体を傾けた舞台姿が美しかった。 篠塚瑞桜さん(京舞篠塚流)の所作指導の賜でしょうか。 歌の面では、シャープレスの田中勉さんが圧倒的。 ボンゾ役のノルヴェリスは長身で、見た目から迫力満点でした。 子供役の寺下美波ちゃんは、モンキッキみたいで可愛かったです (^_^) 。 堺シティオペラはこのプロダクションを持って、来年の「プッチーニ・フェスティヴァル」に参加するそうです。 この栗山演出はジャポネスクな演出としては、一つの頂点を極めたものでしょう。 このような素晴らしい舞台を本場イタリアの観客に見ていただけることは素晴らしいことで、「大成功間違いなし」太鼓判を押しておきましょう。 そして、この舞台を「ジャポネスク《蝶々夫人》の決定版」として映像化し、記録に残していただきたい、と御願いしておきましょう。 「プッチーニ・フェスティヴァル」といえば、7月29日に聴いた三枝成彰さんの歌劇 《Jrバタフライ》も上演されるんですよね。 並河さんは《Jrバタフライ》にもシスター役で出演しておられましたから、どうなるのでしょう? 堺シティオペラのもう一つの特徴は、ロビーに公演写真が展示されていること。 過去の公演写真も充実していますが、今回の舞台の写真も展示されているんです(@o@)。 これは「ひかり写真室」によるゲネプロ写真(オケは普段着)なんですが、この手際良さには感心してしまいます。 今回の素晴らしい舞台の想い出に、たくさん展示写真を撮ってきました。 天井のライトが反射していますが、舞台の雰囲気はお分かりいただけるでしょう。
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