東京二期会・飯守泰次郎 《ワルキューレ》
2008年2月24日(日)2:00PM 東京文化会館

「REVIEW08」に戻る  ホームページへ
 
 
 この日の日本列島は大荒れで、名古屋駅で新幹線は25分遅れ。
 三島駅では強風のため先行の新幹線が止まっているそうで、嵐を突いて会場に向かうとは、まったく《ワルキューレ》にふさわしい状況となってしまいました (^_^; 。

     二期会公演 《ワルキューレ》
 2008年2月24日(日)2:00PM 東京文化会館

 指揮:飯守泰次郎 演出:ジョエル・ローウェルス
     ジークムント:大野 徹也
     フンディング:小鉄 和広
      ヴォータン:泉 良平
     ジークリンデ:増田 のり子
    ブリュンヒルデ:桑田 葉子
       フリッカ:増田 弥生

 飯守先生には期待どおり、この上ないであろう《ワルキューレ》を聴かせていただきました。
 しかし、それだけでは不満足な結果となってしまうところがオペラ公演の難しいところでしょうか。

 何よりも、ローウェルスの演出が良くない。
 彼の演出はヨーロッパ演出の通弊として、余分なものが多い。

 最後の『魔の炎の音楽』で、子供のブリュンヒルデが出てきます。
 これをやられると、次に登場するのはセーラー服のブリュンヒルデか? とか妄想と不安が頭を駆けめぐって、せっかくの飯守ワールドを楽しむことが出来ません。

 フンディングとジークリンデのベッドシーンを見せるのも不必要ですが、やるのなら徹底的にやっていただきたかった (^_^ゞ。
 フンディングなんか靴を履いたまま、ジークリンデの上から乗っかっただけだったでしょう?

 カーテンコールのブーイングは当然の報いかと思いました。

 キャストではフリッカの増田弥生さんが素晴らしかった。
 予告の押見朋子さんから都合により変更となった若手メゾソプラノだそうです。
 フリッカの場面は音楽的には面白くない部分だと思うんですが、増田さんの声のおかげで大いに楽しむことが出来ました。

 ジークリンデの増田のり子さんも良かったですね。
 ブリュンヒルデの桑田葉子さんも、大役に健闘していたのではないでしょうか。
 ワルキューレたちの衣装は、背中に蝉の羽根が付いたようなおかしなものでした。

 一方の男声陣はあまり感心しませんでした。
 ジークムントの大野徹也さんは、よほど声の調子が悪かったのでしょうか?
 フンディングの小鉄和広さんには凄みというか邪悪さが欠けているような気がしました。
 ヴォータンの泉良平さんには神々の長としての存在感(まあ声量かな)が足りないと思いましたが、カーテンコールのブーイングはお気の毒かと思いました。

 会場で『緊急予告』が配られていました。
 9月の二期会公演《エウゲニー・オネーギン》に、2月17日(日)の《妖精》で驚嘆したソプラノの大隅智佳子さんが主演されるそうです。
 フランス語の《ルイーズ》、ドイツ語の《妖精》、そしてロシア語の《エウゲニー・オネーギン》と、大隅さんも大変ですね。
 問題は演出が大嫌いなコンヴィチュニーというところですが、まあ行かなくてはね。
 9月13日(土)15日(月・祝)が大隅さんの出演日です。
 
 
「REVIEW08」に戻る  ホームページへ