METライブビューイング 《トリスタンとイゾルデ》
2008年4月6日(日)5:00PM ミッドランドスクエアシネマ

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 このオペラが長いのは分かっていますが、それでもタイムテーブルに終演22時40分と書かれていたのには、さすがにたじろぎました (^_^ゞ。

     METライブビューイング 《トリスタンとイゾルデ》
 2008年4月6日(日)5:00PM ミッドランドスクエアシネマ
        MET上演 2008年3月22日(土)

  指揮:ジェームズ・レヴァイン  演出:ディーター・ドルン

       イゾルデ:デボラ・ヴォイト
     ブランゲーネ:ミケーレ・デ・ヤング
       トリスタン:ロバート・ディーン・スミス
   クルヴェルナル:アイケ・ヴィルム・シュルテ
       マルケ王:マッティ・サルミネン

 前評判通り、デボラ・ヴォイトのイゾルデが素晴らしかった。
 最初から最後まで張りのある豊かな歌声で、あらためて「オペラ歌手は怪物だ」と思いました。
 彼女がメットでイゾルデを歌うのは初めてだそうです。

 トリスタンに予定されていたベン・ヘップナーが体調不良のため、急遽ベルリンからロバート・ディーン・スミスが呼ばれたそうです。
 代役とはいえロバート・ディーン・スミスはバイロイトのトリスタンですから、さすがのネットワークです。
 第二幕後半では疲れも見えましたが、トリスタンの聴かせどころである第三幕は見事に歌いきってくれました。

 ロバート・ディーン・スミスは名古屋に来たことがあり、大植英次さん指揮の《ワルキューレ》でジークムントを聴かせてくれました。

 マルケ王のサルミネンを最初に見たのは1987年のベルリンドイツオペラの来日公演《ニーベルングの指環》で見たハーゲンだったでしょうか。
 あの頃から声量のある立派な歌手だと思いましたが、あれから20年、今でも変わらぬ声量で、歳を取った分マルケ王にふさわしくなったでしょうか。

 ブランゲーネのミケーレ・デ・ヤングは身長の高い歌手で、小柄なヴォイトとはバランスが悪かったような気がします。
 クルヴェルナルのシュルテは声量のある歌手でした。

 指揮者のレヴァインは1997年のメトロポリタン歌劇場来日公演以来あまり好みではないのですが、このオペラでもやはり音楽を表現するより拍子を振っているという印象を持ちました。

 演出のディーター・ドルンは何度も書いていますが、1980年8月19日ザルツブルク音楽祭《ナクソス島のアリアドネ》でオペラ演出の魅力(魔力?)を教えてくれた、僕にとっては神様のような演出家です。

 しかし、今回の舞台は超ハイテク技術を用いた舞台照明は美しいものの、演出はあまり上手くいっているとは思いませんでした。
 第三幕ではイゾルデを持て余しているようで、彼女はトリスタンにすがろうともせず突っ立ったまま。
 せっかくのヴォイトがもったいないことでした。
 神様が地面に落っこちたような気がしましたね。

 もう一つの問題は、この日の映像はマルチスクリーンとかいって、時々4分割とか9分割されて、それぞれに違う画像が投影されます。
 映像制作者(女性)は「アブストラクトな演出をリアリスティックなものに変える」と説明していましたが、当然これには彼女の意図が入ってくるわけで、それが大変に目障りでした。

 この日のインタビューアーははスーザン・グラハムというメゾソプラノで、内容のあるトークをしていました。た。
 
 
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