長久手オペラ 《イドメネオ》
2009年3月21日(土)6:00PM
長久手文化の家 森のホール

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 長久手オペラは愛知県立芸術大学教授の大下くみこ氏を中心として活動を続け、今回が10周年記念公演です。
 大下さんはかつてバイエルン国立歌劇場、バイロイトでも歌ったことがある(1978年 花の乙女(パルジファル)という豊富な経験を、このオペラ事業のために注ぎ込んでいます。
 今回が初めてのオーケストラ付きの公演になるそうです。

 長久手町は名古屋の東に位置し、「小牧長久手の戦い」の古戦場として知られています。

 長久手オペラで珍しい《イドメネオ》を上演するという意欲は買うものですが、PRが少ないのでしょう。
 客席は半分くらいだったでしょうか。
 せっかくの公演なのに勿体ないことです。

長久手古戦場公園 長久手文化の家


    長久手オペラ 《イドメネオ》
  2009年3月21日(土)6:00PM
    長久手文化の家 森のホール

    指揮:フォルカー・レニッケ
    企画・演出・解説:大下くみこ
    イドメネオ:加藤利幸
    イダマンテ:高橋千春
    イリア:伊藤エンデ晶子
    エレットラ:やまもとかよ
    アルバーチェ:永井秀司
    神の声・司祭:安田 健

 1780年、ザルツブルクでくすぶっていた24歳のモーツアルトに、ミュンヘンの宮廷からオペラの依頼が舞い込みます。

 このオペラ《イドメネオ》上演のためにミュンヘンに出かけたモーツアルトは、ザルツブルクに帰ることはありませんでした。

 つまり、このオペラはザルツブルクのコロレド大司教の宮廷から逃げ出すための、モーツアルトの人生をかけた渾身のオペラだったのです。

 僕はモーツァルトの『三大オペラ』は苦手ですが、《イドメネオ》は06年10月22日(日)新国立劇場の公演を聴いて、大変感銘を受けました。

 字幕はなく、各幕の前に大下さんがあらすじを解説します。
 クレタの王イドメネオはトロイ戦争の帰りに嵐に遭い、海神ネプチューンに「助かったら最初に会った人間を生け贄にする」と誓い、助けられる。
 しかし、彼が浜辺で最初に出会ったのは息子のイダマンテだった。
 ここにトロイの囚われの王女イーリアとイダマンテの愛、横恋慕するエレットラが絡んでくる。

 モーツアルトの楽曲はいずれも魅力的ですが、第二幕の木管楽器が飛び回る小鳥のようなオブリガートを付けるイリアのアリアと、大下さんの「このアリアを歌える歌手は世界に何人もいませんが、私たちは演奏します」という前置き付きで歌われたイドメネオの苦悩のアリアが、特に優れた曲かと思いました。

 伊藤エンデ晶子さんと加藤利幸さんは世界でも通用する実力者かと思いました。
 おっと、伊藤さんは既にヨーロッパの歌劇場で活躍されていたのでした、

 中日新聞によれば、伊藤さんの実家は岐阜県の土岐市にあるそうで、隣の多治見市は藤村実穂子さんの出身地です。
 そして、藤村さんは新国立劇場 《イドメネオ》でイダマンテを歌われたのでした。

 コーラスは歌は悪くないのですが、整列して歌って動きが素人。
 プロの演出家ならどのように処理するか、確認してみたいものです。

 フォルカー・レニッケさんの指揮はもう少しデモーニッシュなものを求めたいところもありました。
 オーケストラは健闘していました。

 第二幕のフィナーレで、突然オーケストラが止まり、舞台が暗くなりました (@o@)。
 そして、「舞台は海神の怒り、バレエ音楽へと続くのですが、本日は抜粋公演のため、ここで休憩時間とさせていただきます」というアナウンスが入りました (^_^ゞ。
 
 
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