セントラル愛知交響楽団第100回記念演奏会 歌劇 《フィデリオ》 全幕(演奏会形式) 2009年7月24日(金)6:45PM 愛知芸術劇場コンサートホール |
ベートーベンの失敗作と言われるオペラ《フィデリオ》は上演の機会が少なく、この機会を逃すわけにはいきません。 ウィークデイの夜ということで、第二幕からの入場を覚悟して出かけました。 ところが、「次の拍手でお入りください」とのことで、レオノーレのアリアから聴くことができ、すっかり気分を良くしてしまいました (^_^) 。 セントラル愛知交響楽団第100回記念演奏会 歌劇 《フィデリオ》 全幕(演奏会形式) 2009年7月24日(金)6:45PM 愛知芸術劇場コンサートホール 指揮:齊藤一郎 演出:池山奈都子 レオノーレ:並河寿美 フロレスタン:小山陽二郎 マルツェリーネ:星川美保子 ドン・フェルナンド稲垣俊也 ロッコ:松下雅人 ヤキーノ:波多野均 ピッツァロ:木村 聡 合唱:名古屋音楽大学フィデリオ合唱団 男声合唱:クール・ジョワイエ 大阪、東京から第一線のソリストを招いた意欲的な公演でした。 中でもレオノーレ役の並河さんが素晴らしかった。 さすがは堺シティオペラで笛田博昭さんと《トスカ》の二重唱を歌った実力者です。 最初に聴いたレオノーレのアリアはホルンが4人とも難しそうな曲でしたが、ベートーベンがこのオペラにかけた情熱を感じ、「このオペラは決して失敗作ではない」との思いを強く持ちました。 その他のキャストもそれぞれの役にふさわしい出来かと思いましたが、申し訳ないがドン・ピッツァロは少し凄みが足りなかったでしょうか。 コーラスは迫力があり、申し分のないものでした。 演出はファンの池山奈都子さん。 オーケストラの後ろに舞台が組まれ、演奏会形式と言いながら演技が付いたステージオペラの形式でした。 舞台上には身長より高いマイクスタンドのようなものが10本くらい立っているだけ。 オーケストラを左右に分けて、中央に通路を作り、指揮者の横に倒れているフロレスタンにパンを渡すために、レオノーレがステージから駆け下りたりします。 オーケストラがステージ上で演奏しているため照明も使えません。 それでも僕は「オペラとはこういうものだ、演出とはこういうものだ、そしてオペラ歌手とはこういうものだ」といたく感動しました。 『囚人の合唱』でパイプオルガンの前に座っていたコーラスが、揃ってではなく、バラバラに牢獄から出てくるようにフラフラと立ち上がったのも、素晴らしいアイディアかと思いました。 指揮者の齊藤一郎さんはセントラル愛知交響楽団の常任指揮者。 初めて拝見しましたが、派手な動きではないものの、その音楽はエネルギーにあふれた、充実したものでした。 第2幕で演奏された『レオノーレ3番序曲』で、僕はおかしなことに気がつきました。 中央の通路より、本来ならピッコロの場所に座っている女性が全く演奏しないんです。 この人は何者なのか? プロンプター? とか思って見ておりましたが、オペラになったらピッコロを取り出しました。 『レオノーレ3番序曲』にピッコロは無かったんですね (^_^ゞ。 なにはともあれ、僕は齊藤一郎さんが指揮するセントラル愛知交響楽団がすっかり気に入ってしまいました。 9月の定期ではハイドシェックがモーツァルトの『戴冠式』を弾くし、1月の定期ではショスタコーヴィッチの10番、3月の定期では同じく9番というマニアックで魅力的な曲目が並んでいます。 僕はティエリー・フィッシャーが聴きたくて名フィルの定期会員になりました。 最近はピアニストにも興味を持って聴いています。 これ以上演奏会が増えたらたいへんでしょうか (^_^ゞ? 第101回定期演奏会(09/09/12)のプログラムに写真が出ていました。 指揮者の足元に倒れているフロレスタン。 このあとレオノーレがステージから駆け下りてフロレスタンを助け起こすのです。 いま思い出しても、また涙が出てきます (^_^ゞ。
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