名古屋フィルハーモニー交響楽団 第363回定期演奏会『11月の森』
2009年11月14日(土)4:00PM 愛知県芸術劇場コンサートホール

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  あれは1983年(昭和58年)のことでしょうか、我がオケは当時名フィルの副指揮者だった広上淳一さんに、音楽教室の指揮者をお願いしたのでした。
 曲目は『アルルの女』などでしたが、広上さんはスコアに首っ引きで、とてもプロの指揮者とは思えませんでした。

 帰る方向が一緒だったので車でお送りし、ファミリーレストランでお食事とお話をしたのですが、将来とも指揮者でやっていけるかどうか、心配しておられました。
 「それは難しいだろうな」と当時の僕は思ったのですが、翌1984年に第1回キリル・コンドラシン国際青年指揮者コンクールで優勝されたのには驚きました。


   名古屋フィルハーモニー交響楽団
   第363回定期演奏会『11月の森』
   2009年11月14日(土)4:00PM
   愛知県芸術劇場コンサートホール

   指揮:広上淳一
   ヴァイオリン:ボリス・ベルキン

   バックス:交響詩『11月の森』
   ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調
   グリーグ:劇音楽『ペール・ギュント』
                 第1組曲,第2組曲

 アーノルド・バックス(イギリス人、1883~1953)の交響詩『11月の森』は彼が愛するアイルランド、ケルトの伝統を映し出した作品だそうです。
 曲はあまり良く分かりませんでしたが、演奏は良かったのではないでしょうか。

 ボリス・ベルキン(ロシア人,1948年1月26日~)の演奏は素晴らしかった。
 ブルッフはヴァイオリン協奏曲の中では比較的難易度の高くない曲かとは思いますが、技術的にも音楽的にも、たいへん感心しました。

 広上さんは全身を使ってオーケストラをコントロールし、素晴らしいコラボレーションが繰り広げられました。
 広上さんとベルキンは大親友で、1994年にこの曲をロイヤル・フィルとレコーディングしたことがあるそうです。

 トロルハウゲンにあるグリーグの家は8月に訪れたばかりです。
 『ペール・ギュント』では、聞き慣れない第2組曲の方が面白かった。

 広上さんの指揮は強弱緩急の幅が広く、指揮棒の動きの見事さに見とれてしまうんですが、唸り声や大きな鼻息は止めていただきたいものです。
 静謐な「オーゼの死」で唸られたのではたまりませんよ。
 
 
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