名フィル第390回定期『カレワラの冒険者』 ロリー・マクドナルド
2012年4月21日(土)4:00PM 愛知県芸術劇場コンサートホール

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 名フィル定期演奏会、新年度のテーマは「音楽で紡む『世界の物語』シリーズ」。
 4月定期はフィンランドの長大な叙事詩『カレワラ』の登場人物のひとり英雄レンミンカイネンを主人公にした、シベリウスの『4つの伝説曲』がメインです。

 名フィル 第390回定期演奏会『カレワラの冒険者』
 2012年4月21日(土)4:00PM
 愛知県芸術劇場コンサートホール

 指揮:ロリー・マクドナルド
 ピアノ:田村 響

 フンパーディンク:《ヘンゼルとグレーテル》前奏曲
 ベートーヴェン:ピアノ協奏曲5番『皇帝』

 シベリウス:レンミンカイネン組曲(4つの伝説曲)
 ・レンミンカイネンとサーリの乙女たち
 ・トゥオネラの白鳥
 ・トゥオネラのレンミンカイネン
 ・レンミンカイネンの帰郷
 
 プログラムによれば、指揮者のロリー・マクドナルドはスコットランド生まれ。
 ケンブリッジ大学で音楽を学び、ヴァイオリンとピアノを演奏する。
 大学ではデイヴィッド・ジンマンに指揮法を師事し、ケンブリッジ大学卒業後2001-03シーズンにはイヴァン・フィッシャーのもとブダペスト祝祭管弦楽団のアシスタント・コンダクターを、2006-08シーズンにはサー・マーク・エルダーのもとハレ管弦楽団のアシスタント・コンダクターを務める。
 ロリー・マクドナルドは、英国で最も才能のある、ダイナミックな若い指揮者の一人として、急速に自身の存在感を増している。
 コンサートと同様にオペラにも精通し、彼の指揮は、古典派とロマン派のレパートリーでは特色ある解釈を、同時代音楽へは理知的な洞察力と熱情をもたらしている。

 《ヘンゼルとグレーテル》の前奏曲は元気な演奏でしたが、僕はもっと幻想的でロマンチックな演奏が好みです。

 ピアノの田村 響さんは1986年愛知県安城市出身。
 愛知県立明和高等学校音楽科卒業後、オーストリアのザルツブルク・モーツァルテウム音楽大学在学中。
 2007年パリで開催されたロン=ティボー国際コンクールにおいて、弱冠20歳で第1位に輝き一躍世界に注目されるに至った。

 『皇帝』は堂々とした演奏でしたが、先日レイ・チェンを聴いてしまった僕には、なんだか普通の演奏に聞こえました。

 後半の『4つの伝説曲』は、素晴らしい演奏でした。
 イギリスの指揮者は北欧物が得意と言われていると思いますが、まったくその通りだなと思いながら聴いていました。

 『4つの伝説曲』が完成したのは1895年だと書かれていますから、『フィンランディア』(1900年)より前に書かれた曲のようです。
 中でも有名なのが第2曲「トゥオネラの白鳥」で、このコンサートの白眉だったでしょう。
 かすかな弦楽器の動きの中から浮かび上がってくるイングリッシュホルン(山本直人)にはゾクゾクしました。
 他の3曲は初めて聴く曲で良く分かりませんでしたが、盛り上がった演奏を聴かせていただきました。
 
 『4つの伝説曲』は演奏時間が45分、『皇帝』は39分で、長いコンサートとなりました。
 カーテンコールではこの日で退団されるオーボエの諸岡研史さん(1980年入団)に盛大な拍手が送られました。