プラジャーク弦楽四重奏団 & 橋本杏奈
2012年6月4日(木)6:45PM 宗次ホール

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 宗次ホールの「世界のカルテット ∞ カルテットの世界」シリーズでは、いつもレベルの高い世界のカルテットを聴かせていただき感謝しています。
 本日はチェコを代表するプラジャーク弦楽四重奏団と、2011年5月のコンサートで感心したクラリネットの橋本杏奈さんの共演です。

 世界のカルテット∞カルテットの世界 SQ.24
 プラジャーク弦楽四重奏団 & 橋本杏奈

 2012年6月4日(月)6:45PM

 ハイドン:弦楽四重奏曲 変ロ長調 作品71-1
 ドヴォルザーク:弦楽四重奏曲 第12番 へ長調 作品96「アメリカ」
 モーツァルト:クラリネット五重奏曲 イ長調

 プラジャーク弦楽四重奏団:
 パヴェル・フーラ(ヴァイオリン)
 ヴラスティミル・ホレク(ヴァイオリン)
 ヨセフ・クルソニュ(ヴィオラ)
 ミハル・カニュカ(チェロ)
 クラリネット:橋本杏奈

 まずはプログラムからちょっと引用させていただきます。
 今日、最も国際的に活躍するチェコの弦楽四重奏団のひとつであるプラジャーク弦楽四重奏団は、メンバーがまだプラハ音楽院の学生であった1972年に結成された。
 以後30年以上にわたり世界中の舞台で活躍を続けている。
 2010年に、同カルテット設立時から第一ヴァイオリンを担ってきたヴァーツラフ・レメシュが左手の故障により引退。
 それまで同じくチェコを本拠とするコチアン弦楽四重奏団で長く第一ヴァイオリンを務めていたパヴェル・フーラに交代した。

 「プラジャーク」とは結成時のチェロのメンバー(リーダー?)の名前であり、またチェコ語で「プラハっ子」の意味だそうです。

 今まで宗次ホールで素晴らしい弦楽四重奏団を聴かせていただいているものですから、プラジャーク弦楽四重奏団は個人のテクニックも全体としてのアンサンブルも少し精度に欠けるものかと思いました。

 クラリネットの橋本杏奈さんは1989年生まれというから、プラジャーク弦楽四重奏団が結成されてから17年後に生まれたわけですか (@o@)。
 この曲ではクラリネットの座る場所に興味があったのですが、橋本さんは中央に座りました。
 彼女の身長は他のメンバーの肩までしかありません。
 また持っている楽器がいやに大きく見えましたが、これはバセットホルンでした。

 弦楽器の序奏(?)に続いて演奏された最初のパッセージを聴いて、ぼくはあっと言う間にその魅力的な音色に惹きつけられてしまいました。
 音色だけではなく技術的にも欠けるところが無く、またフッとピアノになったりフレージングが実に音楽的です。
 持ってきたオペラグラスで橋本さんの演奏するときはアップで見て、弦楽器だけの時はオペラグラスを外したりして (^_^ゞ。
 この曲のクラリネットについては、これ以上の演奏を考えることができないほど感心し、ゾクゾクしました。

 僕がこの曲を好きになったのは、アニエス・ヴァルダ監督の『幸福』を見てから。
 印象派絵画のような美しい画面にクラリネット五重奏の第一楽章が流れる中、浮気を打ち明けられた妻が水死し、夫は浮気相手と再婚するという。
 この映画は1966年キネマ旬報外国映画ベストテン第3位を獲得した名作でした。

 それからカール・ライスターとトーマス・ブランディスらベルリンフィルのメンバーのLPを買って、何度も聴き直したものです。
 僕はアマチュアのヴァイオリン弾きです(でした)から、この曲も演奏したことがありますが、第一楽章の展開部が難しい。
 A管クラリネットのために書かれた曲ですから、やたらシャープが多くてね (^_^; 。

 アンコールは橋本さんの説明があり、普通のクラリネットに持ち替えて、ウェーバーのクラリネット五重奏のフィナーレ。
 技巧的な曲をソリスティックに吹き飛ばして、拍手喝采を浴びました。

 名フィル定期『ハーメルンの笛吹き』でそのハイレベルな演奏に驚いた上野星矢さんも橋本さんと同じ1989年生まれ。
 日本にも凄い管楽器奏者が次々と出てくるのだなあ、と深い感慨を覚えました。