オペラ 演奏会形式 『万葉集』
2014年9月13日(土)1:30PM 愛知県芸術劇場コンサートホール

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 オペラ 演奏会形式 『万葉集』
 2014年9月13日(土)1:30PM
 愛知県芸術劇場コンサートホール

 台本/黛まどか 音楽・指揮/千住 明

 石川能理子(ソプラノ):額田王/大伯皇女
 松原宏美(メゾソプラノ):鏡王女/持統天皇
 井原義則(テノール) :中大兄皇子/草壁皇子
 吉田裕貴(バリトン) :大海人皇子/大津皇子

 管弦楽/名古屋室内管現楽団
 合 唱/名古屋室内管現楽団合唱団
 語 り/荒川洋子

 第一部は2009年作曲(2011年改訂)~明日香風編~
 額田王の物語です。

 ステージ前方には譜面台を見ながら歌う4人のソリスト。
 オーケストラは意外に大編成で、その後ろに大人数の合唱が並びます。
 女声が男声の3倍くらいいたでしょうか。

 千住さんは不協和音の現代音楽では無い、美しいオペラを書かれたと、どこかで読みました。
 字幕は無く、演技は無く、美しい音楽が流れていきます。
 しかし、これでは舞台で何が演じられているのかが分かりません。

 台本はプログラムに載っており、薄明かりの中で何とか読むことが出来ることに気付きました。
 気が付いたのは、ちょうど「蒲生野の薬狩り」の場面。

 あかねさす紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る
 紫草のにほへる妹を憎くあらば人妻ゆゑにわれ恋ひめやも
 の場面でした。

 万葉集でも最も有名な場面の一つでしょうが、有名な歌にただ美しい音楽が付けられているだけ。
 額田王、中大兄皇子、大海人皇子の心理的葛藤など望むべくもありません。
 これではオペラになっていないのではないかな?
 黛まどかさんは俳人ですが、オペラの台本には慣れておられないようです。

 つい、先日聴いた《ミス・サイゴン》との落差を感じてしまいました。

 後半は2011年作曲(2012年改定)~二上挽歌編~
 〈大津皇子・大伯皇女レクイエム〉

 黛さんの台本は、前半と同じく万葉集のハイライト。
 千住さんの楽曲は前半よりドラマチックなものかと思いました。
 最後の合唱はいい曲だったような気がします。
 マスカーニ《イリス》の“太陽賛歌”を思い出しました。