N響定期に安土さん? そしてデュ・プレのエルガー
2015年5月3日(日)9:00PM Eテレ クラシック音楽館

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 NHK交響楽団1802回定期演奏会
 2015年2月7日
 指揮:パーヴォ・ヤルヴィ
 チェロ:アリサ・ワイラースタイン
 コンマス:ヴェスコ・エシュケナージ(コンセルトヘボウ)

 エルガー チェロ協奏曲 ホ短調 作品85
 マーラー 交響曲第1番 ニ長調 「巨人」

  「巨人」 は大きな音楽の流れから、細かい各楽器のフレーズまで、ヤルヴィの意志が徹底された素晴らしい演奏だと思いました。
 この指揮者なら、どんな音楽でも素晴らしい演奏をしてくれそうです。
 2月の名古屋定期演奏会にも書いたのですが、N響は良い首席指揮者を獲得したようで、羨ましいことです。

 N響の奏者達もやる気満々で素晴らしい演奏を繰り広げたのですが、立ち上がって咆哮するホルンの5番手の女性が、名フィルの安土さんに似ているのが気になりました。
 もし御本人なら、ファンの僕としては嬉しいような心配なような‥‥。

 カーテンコールでヤルヴィがコントラバスのソリストを立たせるのを忘れて、焦ったのは可笑しかったですね (^_^) 。


 放送が終わって、さっそく取り出したのはデュ・プレ独奏のエルガー「チェロ協奏曲」のレーザーディスク。

 1967年(22歳?)の収録で、1966年に結婚したバレンボイムが指揮するニューフィルハーモニア管弦楽団の伴奏です。
 最初の数音でゾクゾクとして、チェロによって歌い上げられる悲愴な主題に涙が出てくるという世界文化遺産ともいうべき演奏です。

 このような演奏があっては、本日のワーラースタインの演奏は生ぬるく感じられます。
 というか、どのチェリストの演奏を聴いても「デュ・プレとはレベルが違う」と不満を感じてしまうんですね。

 あれは1973年4月のことでしょうか、たまたま東京にいた僕は、N響定期でバレンボイム、ズーカーマン、デュ・プレによるベートーヴェンの三重協奏曲が予定されているというので当日券に並んでみたんですよ。
 デュ・プレが1971年頃から多発性硬化症で体調不良という話は聞いていましたので、この機会を逃しては‥‥ということですね。
 
 結局彼女はキャンセルして、代わりにズーカーマンによるメンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲」が演奏されました。
 後半はバレンボイム指揮のチャイコフスキー「交響曲第4番」でしたが、序奏の部分を聞いて「この若手ピアニストは大物指揮者になる」と確信したものです。