ミュージカル 《貴婦人の訪問》 2015年9月12日(土)5:00PM 中日劇場 |
《貴婦人の訪問》は映画化もされたスイスの作家フリードリヒ・デュレンマットの戯曲「老貴婦人の訪問」 (1956年初演)をミュージカル化したもの。 2013年にスイスのトゥーンで初演され、2914年にはウィーンのローナッハー劇場で上演されたそうです。 ![]() 《貴婦人の訪問》 2015年9月12日(土)5:00PM 中日劇場 脚本:クリスティアン・シュトルベック 歌詞:ヴォルフガング・ホファー 音楽:モーリッツ・シュナイダー マイケル・リード 演出:山田和也 アルフレッド(雑貨店主):山口祐一郎 クレア:涼風真世 マチルデ(アルフレッドの妻):春野寿美礼 マティアス(市長):今井清隆 クラウス(校長):石川 禅 ゲルハルト(警察署長):今 拓哉 ヨハネス(牧師):中山 昇 若い時のクレア:飯野めぐみ 若い時のアルフレッド:寺元健一郎 億万長者の未亡人となったクレアが財政破綻寸前の故郷、ギュレン(ドイツ語圏の街)に戻 ってきた。 人々は、かつての恋人アルフレッドがクレアに財政援助を頼んでくれることを期待していた。 そして、クレアを迎える晩餐会。大々的な市への援助を約束したクレアだったが、多額の寄付金と引き換えにある条件を提示する。 それは「アルフレッドの死」。 舞台では、だんだん背景が分かってくるミステリー仕立てなのですが、明日は大千秋楽なので、ネタバレしてもいいでしょう。 昔アルフレッドは恋人のクレア(17歳?)を妊娠させ、納屋から突き落とし、裁判で仲間と結託して偽証を行った。 捨てられたクレアのお腹の子供は流産し、彼女には歩行障害が残る。 街を出た彼女は売春婦となり、大金持ちと結婚し、未亡人となる。 そして彼女はアルフレッドとギュレンの街に復讐するために戻ってきたのです。 《メリー・ウィドウ》系の荒唐無稽な話ですが、ここを乗り越えないと、ここからのストーリーに付いていけません (^_^ゞ。 アルフレッドが死ねば大金が手に入る街の人々は、クレジットカードで贅沢な買い物をするようになります。 経済活性化のアベノミクスですね。 しかしながら、その金の担保にされたアルフレッドはたまりません。 死の恐怖が回りから迫ってくるわけで、彼は友人達に助けを求めますが、友人達もすでにクレジットカードで買い物をしているんですね。 僕は山口祐一郎さんのファンなのですが、ジーザス、ファントム、ヴァンパイアなど人間以外の役が素晴らしい。 今回は人間役なので期待はしていませんでしたが、それでも一度は見ておかなくては。 ファンの辛いところです。 果たして、第一幕は声はかすれ気味で、話すセリフは赤ちゃんことば。 しかしながら第二部に大ナンバーがあり、この歌唱には大いに満足しました。 そこからは演技もまともなシリアスなものになってきました。 どうして最初からこれが出来ないのでしょうか。 涼風真世さんは難しい役柄で聴かせどころも多かったのですが、歌も演技も素晴らしいものでした。 春野寿美礼さんは歌は立派に歌っておられましたが、脚本のためか、存在感がすこし薄かったでしょうか。 男声カルテットはベテランばかりで問題なし。 初めて聴いた牧師役の中山 昇さんの声は目立っていました。 結局アルフレッドは昔の悪事のために市民裁判(?)にかけられ、妻マチルデを含めたすべての市民が「アルフレッドの死」に賛成しました。 目的を達したクレアがヘリコプターで去って行くシーンは《ミス・サイゴンへ》のオマージュでしょうか? ヘリコプターからはお札がばらまかれ、アベノミクスは大成功。 これからギュレンの街は繁栄していくのでしょう。 さてこのミュージカルの主人公は誰でしょう。 台本が散漫なのですが、《貴婦人の訪問》という題名からいって、クレアの涼風真世さんなのでしょうか? カーテンコールの最後に、涼風さんと山口さんは腕を組んで登場しました。 そして、まず涼風さんが、そして最後に山口さんがカーテンコールを受けました。 さすが「ミュージカル界の帝王」ですね。 |