スワロフスキー &  セントラル愛知交響楽団第150回定期演奏会
 ドヴォルザーク:『スターバト・マーテル』 ~悲しみの聖母~
2016年9月30日(金)6:45PM 愛知県芸術劇場コンサートホール

「REVIEW16」に戻る  ホームページへ
 
 
 セントラル愛知交響楽団、今年度のクライマックスとなるべき150回定期演奏会『スターバト・マーテル』。
 以前の定演のプログラムで、スワロフスキーの「素晴らしい作品だ」とのお勧めもあり、クーベリックのCDで予習したのですが、ピンと来ずに、1回聴いたままで終わってしまいました。

 いつもはしらかわホールで行われる定期演奏会ですが、今回は会場を愛知県芸術劇場コンサートホールに移して、気合いの入った、特別な演奏会です。

 演奏前にスワロフスキーのチェコ語による解説がありまして、「珍しいチェコ語の響きをお楽しみ下さい」とのことでした。
 スワロフスキーは今までに、ブルノとスロヴァキアのオーケストラで、この曲を2回録音しており、今回のソリストたちはそのメンバーなんだそうです。
 スロヴァキアフィルとのCDは会場で販売されていました(4000円)。
 休憩時間がありませんから、演奏を聴いてから、買うかどうするか考えることにしました。


 セントラル愛知交響楽団第150回定期演奏会
 ドヴォルザーク:『スターバト・マーテル』
         ~悲しみの聖母~
 2016年9月30日(金)6:45PM
 愛知県芸術劇場コンサートホール

 指揮:レオシュ・スワロフスキー
 ソプラノ:エヴァ・ホルニャコヴァ
 メゾ・ソプラノ:カルラ・ビトゥナーロヴァー
 テノール:オトカル・クライン
 バス:ヨゼフ・ベンツィ
 名古屋芸術大学スターバト・マーテル合唱団

 山田純さんのプログラムノートによれば、           「悲しみの聖母」と訳されるラテン語の聖歌『スターバト・マーテル』は、「マリアの嘆きと苦しみに同化することを通して神の恩寵が得られるように祈る」という内容を持っている。
 これまでパレストリーナやペルゴレージ、またハイドンやロッシーニ、さらに近代ではシマノフスキーやプーランクたちが『スターバト・マーテル』に曲を付けてきた。

 歌手アンナと結婚して貧しいながらも幸せな作曲家生活を送っていたドヴォルザークは、政府の奨学金を5年も連続して貰うことができた。
 まさに順風満帆な生活だったはずの30代半ばの1875年に、生まれたばかりの長女を失うという悲劇にあってしまった。ドヴォルザークは子供の死を悼むために『スターバト・マーテル』の作曲を思いつき、翌年1876年にスケッチを書き上げた。
 しかし一旦中断して別の作品に取りかかっていたところ、翌1877年の夏に今度は一歳の次女を事故で亡くし、次いで一ケ月後には4歳の長男を天然痘で亡くしてしまった。
 敬虔なクリスチャンとして知られるドヴォルザークが3人の愛児を相次いで失った悲しみをきっかけとして生み出したこの『スターバト・マーテル』には、民俗的な素材はあまり用いられてはおらず、ただ坦々と愛児を悼む祈りと静謐な美しさが漂っていることを感じることができるだろう。
 なおついでながら、その後ドヴォルザークは三男二女を授かることとなった。

 今回の演奏は穏やかな、スワロフスキーのこの曲に対する愛情が溢れ出した、美しい演奏でした。
 字幕もなく、何が歌われているかも分かりませんでしたが、宗教曲なので字幕があっても内容は分からなかったでしょう。
 特に後半が美しく、「この曲のこれ以上の演奏はないだろう」と、僕は終演後にCDを購入することを決意したのでした。

 スワロフスキーの任期はあと何年なのでしょう?
 僕は2012年6月22日にこのコンビで『スラブ舞曲』を聴いて、ノックアウトされてから、彼らの演奏を聴き逃さないように心がけていますが、これからは1回1回の演奏がますます大事になってきます。

 CDを買ってサイン会に並びましたが、スワロフスキーはご機嫌でした。
 CDは売り切れてしまいました。