名フィル第439回定期演奏会 ヴィット&プレトニョフ
2016年10月21日 (金) 6:45PM 愛知県芸術劇場コンサートホール

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 名フィル第439回定期演奏会
 2016年10月21日 (金) 6:45PM
 愛知県芸術劇場コンサートホール

 指揮:アントニ・ヴィット
 ピアノ:ミハイル・プレトニョフ

 藤倉大: レア・グラヴィティ
 ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番ハ短調 作品18*
 シベリウス:交響曲第1番ホ短調

 プレトニョフは肩を落とし、トボトボとピアノに辿り着きました。
 最初の和音も、腕を肩より挙げることも無く、曲は始まりました。
 テンポは遅く、演奏が止まる寸前かと思いました。

 2015年7月11日(土)、プレトニョフ指揮するロシア・ナショナル管弦楽団のコンサートのプログラムで、独奏の牛田智大さんのインタビューがありました。

 「序奏部をマエストロの前で演奏したとき、“この部分で主張しすぎるな”といわれました。チャイコフスキーは改訂版以前にmfで書いているから、ガンガン弾いてはいけないといわれたのです。第2楽章は美しい旋律が特徴ですが、ここでも余分なことはせずシンプルに弾くだけできれいな演奏になるといわれました」

 この言葉を自分でも実践しているかのようです。

 しかし、3連符だけれどそうは聞こえないという第2楽章の聴かせどころで、自由にテンポを揺らすプレトニョフに合わせ、オケをコントロールしていくヴィットを見ていると、2人の巨匠による競演かと思えてきました。

 ソロ・カーテンコールの3回目に一人で出てきたプレトニョフは、クラリネットのボルショスさんを立たせて、去って行きました。

 アントニ・ヴィットは1944年クラクフ生まれ。
 シベリウスの交響曲第1番ホ短調は何回か聴いたことがありますが、退屈な曲かと思っていました、ヴィット男性的な指揮で聴いていると、良い曲に聞こえてきました。
 何となくギュンター・ヴァントのタイプかと思いましたので、次回はブルックナーの交響曲を聴いてみたいものです。