創作オペラ 《忠臣蔵~その命 桜のごとし》
主催:名古屋演奏家ソサエティー
2018年12月23日(日)4:30PM 名古屋芸術創造センター

「REVIEW18」に戻る  ホームページへ  笛田博昭観劇記録
 
 
 創作オペラ 《忠臣蔵~その命 桜のごとし》
 主催:名古屋演奏家ソサエティー
 2018年12月23日(日)4:30PM
 名古屋芸術創造センター

 指揮:濵津 清仁
 作曲:森 彩音
 台本・演出:渕本 晴都子
 振付:落合健史

 大石内蔵助:井原義則
 大石りく:山口 雅子
 浅野内匠頭:津守 礼央
 瑤泉院(阿久利):加川 文子
 吉良上野介:鳴海 卓
 吉良富子:森本 ふみ子
 堀部安兵衛:安田 健
 堀部ほり:こざわ まりこ
 岡野金右衛門:本多 信明
 お艶:津田 文子
 遊女浮橋(みね):愛知 智絵
 遊女清野:阪井 いづみ
 戸田(金右衛門の母):矢内 叔子
 大石主税(幼名:松之丞):鎌田 哲
 瓦版屋 おひで:野村 伸江
 瓦版屋 三次:堀 拓哉
 お里:橋本 若奈
 お登勢:宮井 貴代
 おみよ:重兼 あずさ
 大家:早川 けい

 ピアノ:久野 明子
 エレクトーン:前田 絢葉
 チェロ:水谷 幸絵
 合唱:名古屋演奏家ソサエティー合唱団
 舞踊:Dance Studio SWING BEAT

 名古屋演奏家ソサエティーは平成元年から創作オペラを手掛けている団体。
 声楽家で多くの創作オペラを手掛ける渕本晴都子さんが台本・演出、同ソサエティーの森彩音さんが作曲を担当。
 キャストはこの地方のベテランが多く集められた感じです。

 序曲が終わり幕が上がるとそこは江戸の町。
 瓦版屋の三次(堀 拓哉)を中心に、松の廊下の刃傷が語られます。
 刃傷事件は人形振りのパントマイムで演じられ、浅野内匠頭も吉良上野介もほとんど歌うことがありません。
 キャスト表で下の方にある瓦版屋の三次の方が、元気に歌って駆け回り、よほど大活躍。
 堀 拓哉さんは歌に演技に熱演かと思いました。

 で、舞台が代わると瑤泉院が夫を偲ぶ長いアリアを歌います。
 なんだか時間の割り振りがおかしいなと思って見ていましたが、話が進むに従って分かってきたのは渕本 晴都子さんの台本は主要人物の妻や町人の立場から赤穂事件を扱った作品だということ。
 夫婦の二重唱があって、夫が出て行った後、妻がまた心の内を語る長いアリアを歌うという繰り返し。

 赤穂浪士の活動など、本筋の話はほとんど出てきません。

 名古屋演奏家ソサエティ代表補佐である森さんの楽曲は現代音楽では無く分かりやすい曲でしたが、似たようなメロディーが多いように聞こえました。
 いろいろなエピソードが盛り込まれ、ずらっと並んだキャスト表に書かれている全ての人に聴かせどころがありました。
 日本語上演でしたが字幕はなく、集中して聴けば歌詞を聴き取れる人が意外に多かったです。

 淵本さんの演出は大道具を動かして、江戸の町や屋敷の中など、それぞれの場面をスムーズに転換し、照明も美しかった。
 何より舞台が生き生きとしており、感心しました。
 時代劇なので着物やカツラを揃えるのも大変だったでしょう。

 討ち入りシーンは10人くらいの浪士によるダンスで、これはレベルが高かった。
 《レ・ミゼラブル》風のところもあって、ちょっと笑いました。
 最後に吉良上野介の首を槍に掲げた浪士が現れて、それでおしまい。
 斬り合ったり上野介を討ち取るような血生臭いシーンはありませんでした。

 後でプログラムを見ていたら、この浪士たちはすべて女性だったんですね。
 ビックリしました。