パトリシア・コパチンスカヤ&ポリーナ・レシェンコ
2019年1月12日(土)2:00PM 電気文化会館ザ・コンサートホール

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 僕は初めてザルツブルクに行った時から、モーツァルトが《魔笛》を作曲した「魔笛の家」を見てみたいと思っていました。
 「地球の歩き方」には「魔笛の家はモーツァルテウムにある」と書かれていたのですが、モーツァルテウム音楽院の事務員に聞いても、通りかかった日本人女子留学生集団に聞いても「知らない」という返事だったんですね。

 日々は過ぎ、ある日木之下晃さんの『永遠のサウンド・オブ・ミュージック』を読んでいたら、「魔笛の家はモーツァルティウム大ホールの裏庭にある」と写真が載っていました。
 音楽院と大ホールは別々の管理団体だったんですね。

 そして、2012年5月3日(木)、僕はモーツァルティウムで行われるコンサートの当日券に並んでいました。
 目的は「魔笛の家」なので、演目は何でも良かったんです。
 入場してさっそく中庭に向かおうとすると、「パウゼ!」と休憩時間しか見ることが出来ないようです。

 そして始まったのが、コパチンスカヤという名も聞いたことの無いヴァイオリニストによるベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲。
 生き生きとした素晴らしい演奏に感激し、速報をアップしましたが、中でも仰天したのはコパチンスカヤ自身が作曲したというソリスト、コンサートマスター、ティンパニによるカデンツァ。
 コンサートマスター滅茶難しそうで、ジョークでしょうか?
 演奏が終わると客席全員が一斉にスタンディングオベージョン。
 忘れられない想い出です。
 

“同時代のヴァイオリニストたち”vol.10
 パトリシア・コパチンスカヤ(ヴァイオリン)&ポリーナ・レシェンコ(ピアノ)
 2019年 1月12日(土)2:00PM
 電気文化会館ザ・コンサートホール

 出演者
 ヴァイオリン:パトリシア・コパチンスカヤ
 ピアノ:ポリーナ・レシェンコ 

 プーランク:ヴァイオリンとピアノのためのソナタ
 シューマン:ピアノとヴァイオリンのための3つのロマンスOp.22
 バルトーク:ヴァイオリンとピアノのためのソナタ 第2番 Sz.76
    *****
 エネスク:ヴァイオリン・ソナタ 第3番 イ短調(ルーマニアの民俗風に)
 ラヴェル: ツィガーヌ
★アンコール曲
 ギヤ カンチェーリ:Rag Gidon-Time
 フォーレ:ヴァイオリンソナタ第1番 第3楽章 アレグロ・ヴィヴォ

 完璧な技術で自由奔放な演奏。
 曲が難解なのですが、彼女のパワーに圧倒されながら聴いていました。

 「自由奔放」といえばカルメン。
 「ツィガーヌ=ジプシー」とのことですので、モルドヴァ生まれで父親がツィンバロン奏者だというコパチンスカヤにはロマの血が流れているのでしょうか。
 ポリーナ・レシェンコのピアノもコパチンスカヤにも負けず劣らず迫力満点のものでした。