指揮:クリスティアン・ティーレマン ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ブルックナー:交響曲第8番
2019年11月7日(木)6:30PM 愛知県芸術劇場コンサートホール

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 指揮:クリスティアン・ティーレマン
 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
 ブルックナー:交響曲第8番
 2019年11月7日(木)6:30PM
 愛知県芸術劇場コンサートホール

 11月の名古屋では、本日11月7日(水)にクリスティアン・ティーレマン指揮するウィーンフィルが「ブルックナー8番」を、そして11月13日(水)にはズービン・メータ指揮するベルリン・フィルハーモニー管弦楽団が同じく「ブルックナー8番」を演奏するという、何だか凄いことになっています。

 今回のウィーンフィル来日公演で「ブルックナー8番」が演奏されるのは、本日の名古屋と11月11日(日)の東京だけ。
 全国のファンが集まるものと考えられ、会場はもちろん満席。
 ただの満席というだけで無く、わくわくした期待感でホールが満ちあふれています。

 いよいよ団員の入場となり、コンサートマスターは名フィル首席客演コンサートマスターを勤めたライナー・ホーネック。
 2013年4月3日(水)に行われたトヨタ・マスター・プレイヤーズ『マーラー5番』で大活躍したトランペットのハンス・ペーター・シューの元気な姿を見ることも嬉しいことでした。
 定年は超えているように見えますが、何歳でしょう?
 最後にティーレマンが登場し、全員起立すると興奮は絶頂で、ホールはミニ・ニューイヤー・コンサート状態となりました。

 ティーレマンの指揮棒の先がぷるぷる震えだすと、オーケストラからブルックナー・サウンドが湧き出します。
 しかし、すごい指揮棒ですね。
 普通の指揮者は拍子を振るだけなのに、ティーレマンの棒は止まっていても弱音から最強音まで音楽が流れていく。

 「ブルックナー8番」といえば、忘れられないのは1990年11月10日、名古屋市民会館大ホールで聴いたギュンター・ヴァント指揮する北ドイツ放送交響楽団。
 当時のヴァントは78歳?
 まだ人気の出る前で、会場は半分の入りだったでしょうか。
 そこで聴いた8番は男性的というか、頑固親父に説教されるとか、滝に打たれる修行僧というか、凄まじいもので、僕はすっかり打ちのめされてしまいました。

 本日のティーレマンは優しい棒で、それはそれで素晴らしい演奏だったけれども、それでもヴァントから受けた衝撃にはには及ばない感じでしょうか。

 アンコールがありまして、ヨーゼフ・シュトラウスのワルツ「天体の音楽」。
 これもとろけるようにしなやかな音楽で、ティーレマンの本質はブルックナーの強奏よりヨーゼフ・シュトラウスのワルツなのかもしれません。