トヨタ・マスター・プレイヤーズ,ウィーン 『ウィーン・グランド・コンサート』
2013年4月3日(水)6:45PM 愛知県芸術劇場コンサートホール
超名演! 尾高忠明 『マーラー交響曲5番』

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 会場の愛知県芸術劇場コンサートホールの入口には豊田章男社長を始めとするトヨタの重役達がずらりと並び、圧迫感がありました。

 トヨタ・マスター・プレイヤーズ,ウィーン
 『ウィーン・グランド・コンサート』
 2013年4月3日(水)6:45PM
 愛知県芸術劇場コンサートホール

 ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番
 マーラー:交響曲第5番

 指揮:尾高忠明
 ピアノ:小山実稚恵
 共演:名古屋フィルハーモニー交響楽団

 最初に指揮者なしで「トヨタ・マスター・プレイヤーズ,ウィーン」のための前奏曲『イントラーダ』という曲が演奏されました。

 「トヨタ・マスター・プレイヤーズ,ウィーン」は弦楽器は第1ヴァイオリン5人、第2ヴァイオリン4人、ヴィオラ3人、チェロ、コントラバスは2人がウィーンからのメンバー。

 コンサートマスターはウィーンフィルのコンサートマスターであるフォルクハルト・シュトイデ。
 隣には名フィルの植村太郎さんが座りました。

 管楽器は各パートに二人ウィーンからのメンバーが座っており、首席奏者はほとんどがウィーンフィルのソロ奏者でした。

 クラリネットは「トヨタ・マスター・プレイヤーズ,ウィーン」芸術監督であり、元ウィーンフィルのソロ奏者ペーター・シュミードルでした。

 ベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番は、このコンビにしては普通の演奏だったでしょうか。
 後半のマーラーに力を注いだものと推察されました。

 マーラーの交響曲第5番冒頭のトランペットのファンファーレは、ウィーンフィルのソロトランペット奏者であるハンス・ペーター・シュー。
 この人が素晴らしかった。

 輝きがあってちょっとくすんだ音色はまさにウィーンナートランペット。
 この交響曲のすべての部分で、彼のトランペットは光っていました。

 尾高さんは世界最高の指揮者の一人だと確信しておりますが、尾高さんの指揮にウィーンの音色が加わった今回の演奏は、世界最高の『マーラーの5番』だったと思います。
 このような演奏を聴くことができて、本当に幸せでした。

 第5楽章のフィナーレで第2楽章のコラールが再現するクライマックス。
 フルオーケストラの最強音を従えるかのように聞こえてくるハンス・ペーター・シューのトランペットにはただただ痺れ上がりました。

 僕はマーラーが『交響曲第5番』を作曲したヴェルター湖畔のマイヤーニッヒ(現地の発音ではマイヤーニック)を1991年8月7日に訪れています。
 あの静かな湖畔の作曲小屋で、これほどまでスケールの大きい音楽が作曲されたことは、不思議な思いがします。

 アンコールに《ローエングリン》第3幕への前奏曲までサービスしていただき、最後は尾高さんの腕時計を指してお休みのポーズで夢のようなコンサートはおしまい。
 客電は明るくなりましたが、ステージではウィーンフィルと名フィルのメンバーの交換が続いており、なかなか立ち去りがたかったですね。