飯守 泰次郎 関西フィル ワーグナー
2021年1月23日(土)4:00PM ザ・シンフォニーホール
 
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 待ちに待った飯守さんのワーグナーです。
 このコンサートは昨年5月30日に《ニーベルングの指環》ハイライトとして予定された企画でした。
 しかし新型コロナの流行のため今年に延期され、演目も変更されてしまいました。
 外国人の入国禁止のためソリストも二転三転してしまいました。

 ペトラ・ラング→リカルダ・メルバート→池田香織
 ミヒャエル・クプファー=ラデツキー→青山貴→ミヒャエル・クプファー=ラデツキー
 ラデツキーさんは日本に入国できないと予告があったのですが、どのような経緯で日本に入国できたのでしょう?
 びわ湖ホールのヴォータンだった青山貴さんも聴いてみたかったですね。

 その上、新型コロナの第3次流行のために緊急事態宣言が発令され、コンサートは定員の半分しか客を入れてはいけないという規制がかかり、どうなってしまうのでしょう?
 差し当たり関西フィルに電話してコンサートが開催されることを確認しました。

 そうなると次に心配なのは我が身です。
 大阪コロナと飯守ワーグナーの選択です。
 しかし飯守さんが東京から大阪に来られるのなら、僕が名古屋から行かないわけにはいきません。
 大阪の交通事情は恐ろしいので、新大阪からタクシーに乗ることにしました。

 運転手さんによれば、大阪にはイヴェントが無いので、タクシーを使う人がいないそうです。
 こんな長距離を乗ってもらってありがたい、これで家に帰れる、と感謝されました。
 その料金は2000円でした。

 飯守 泰次郎 関西フィル ワーグナー
 2021年1月23日(土)4:00PM
 ザ・シンフォニーホール

 指揮:飯守 泰次郎(関西フィル桂冠名誉指揮者)
 メゾ・ソプラノ:池田 香織 
 バリトン:ミヒャエル・クプファー=ラデツキー
 管弦楽:関西フィルハーモニー管弦楽団

◇歌劇「タンホイザー」より
 序曲/歌の殿堂のアリア(Sop)/夕星の歌(Bar)

◇楽劇「トリスタンとイゾルデ」より
 前奏曲と愛の死(Sop)

◇楽劇「ニーベルングの指環」
 『ワルキューレ』より ワルキューレの騎行/ヴォータンの別れと魔の炎の音楽(Bar)
 『神々の黄昏』より ジークフリートの葬送行進曲/ブリュンヒルデの自己犠牲(Sop)

 会場で驚いたのは、1階席が満席だったこと。
 SS席ソールドアウト。
 前回の中部フィルのレポートで書いたように、既に発売されたチケットは有効なんですね。
 空席もなく、蜜もいいところでしたね。

 登場した飯守さんは歩行が不自由な歩き方で、驚きました。
 病後ですからね。
 しかし、指揮はしっかりしたものです。

 「タンホイザー」序曲ではクライマックスのトロンボーン『巡礼の合唱』に圧倒されました。
 でも、このホールは響きがおかしいような気がします。
 狭苦しいのでしょうか?
 愛知県芸術劇場コンサートホールはいいホールだと、いつも広上さんに褒められます。

 『歌の殿堂』
池田 香織さんは絶好調。
 タンホイザーの帰りを喜ぶエリーザベトの喜びが、飯守さんのワーグナーを久々に聴ける僕の喜びとシンクロします。

 このコンサートのクライマックスは、もちろん「ニーベルングの指環」のハイライト。
 『ヴォータンの別れと魔の炎の音楽』のミヒャエル・クプファー=ラデツキー(チロル音楽祭のヴォータン、新国立劇場のドン・ピツァロ)の歌唱はまさに絶唱でした。
  『ジークフリートの葬送行進曲』のクライマックス、『剣の動機』を吹くトランペットの顔が真っ赤→ドス黒くなり 脳の血管が切れそうでした。
 
 カーテンコールは、飯守さんやラデツキーを呼び出し、オーケストラを立たせたり、池田さんの独壇場。
 客席の歓声がいつまでも続いていました。

 帰りの新大阪駅には、はとんど人がいませんでした。
 あとは自分がコロナ発症しないこと。
 2週間が勝負でしょうか。