《ワルキューレ》2021年3月11日(木)4:30PM
指揮:大野和士 新国立劇場
 
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 最近の東京のオペラ公演はおかしな演出が多く、足が遠のいておりました。
 しかしながら、ワーグナーだとフラフラと行ってしまうんですね。
 今回の公演は指揮の飯守泰次郎さんが病み上がりで大野さんと交代。
 外国キャストのほとんどがコロナのために入国できず、日本人キャストの代演。
 コロナ緊急事態宣言が延期されるなど、危機感あふれる公演となりました。

 《ワルキューレ》2021年3月11日(木)4:30PM
 新国立劇場

 指揮:大野和士
 演出:ゲッツ・フリードリヒ

・ジークムント:  ダニエル・キルヒ →  
  (第1幕)村上敏明 (第2幕)秋谷直之
・ フンディング:  アイン・アンガー  → 長谷川 顯
・ ヴォータン:  エギルス・シリンス → ミヒャエル・クプファー=ラデツキー
・ ジークリンデ:  エリザベート・ストリッド → 小林厚子
・ ブリュンヒルデ: イレーネ・テオリン  →  池田香織
・ フリッカ:藤村実穂子  → 藤村実穂子

 【ゲルヒルデ】佐藤路子【オルトリンデ】増田のり子【ヴァルトラウテ】増田弥生【シュヴェルトライテ】中島郁子【ヘルムヴィーゲ】平井香織【ジークルーネ】小泉詠子【グリムゲルデ】金子美香【ロスヴァイセ】田村由貴絵

 【管弦楽】東京交響楽団

 ゲッツ・フリードリヒの舞台はフィンランド国立歌劇場で手がけたプロダクション.。
 第1幕は箱の中、第2幕は奥まで伸びる長い通路。
 抽象的なものでしたが、話の流れはオーストドックスなもので、抵抗なく見ることが出来ました。
 「冬の嵐も去り」の二重唱は奥の壁に花(?)が貼り付けられたもので、びわ湖ホールのハンペ演出のようなデラックスな驚きはありません。

 第二幕のジークムントの死のあたりから照明が多用されるようになり、「オペラの演出はこうでなければ」と思い当たりました。
 ジークムントを助けにブリュンヒルデが登場するとその前をヴォータンが遮り、槍でノートゥンクを打つとノートゥンクは3つ(?)に破壊されます。
 どのようになっているのでしょう?

 大野和士さん指揮する東京交響楽団は金管にミスが目立ち、びわ湖ホールの京都交響楽団のレベルには及ばないようです。
 
ジークムントは第1幕を村上敏明さん、第2幕を秋谷直之さんが歌われましたが、どちらも急な登板の中、善戦されたのではないでしょうか。

 最終日まで声が持つことを祈るばかりです。
 プロンプターが3階最後列まで聞こえてきました。

 ヴォータンは1月23日、大阪で飯守泰次郎さんの指揮で聴いたクプファー=ラデツキー。
 声に満杯のタンクがあるように、第2幕の訳の分からぬ長いモノローグを、張りのある声で歌い続けていました。
 大阪のシンフォニーホールで聴いたときより声が聞こえてきて、新国立劇場には何か音響的な仕掛けがあるのでしょうか。

 二人のジークムントを相手にするジークリンデの小林厚子さんほかのキャストも好演で、予想以上のワーグナーを楽しむことが出来ました。

 新幹線の関係で第2幕までで観劇終了。
 時間的には「ワルキューレの騎行」が聴けるかどうかというところでしたが、「ヴォータンの別れ」は大阪のコンサートの記憶で補充することにしました。

 やはりワーグナー観劇後2時間の新幹線は長く、0時過ぎに、クタクタになって帰宅しました。
 明日は朝から仕事です。