第522回定期演奏会 〈チェコ人の喜怒哀楽/スメタナ生誕200年記念〉
小林研一郎 スメタナ:連作交響詩『わが祖国』
2024年4月20日(土)4:00PM 愛知県芸術劇場コンサートホール

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 名古屋フィルハーモニー交響楽団第522回定期演奏会
 〈チェコ人の喜怒哀楽/スメタナ生誕200年記念〉

 2024年4月20日(土)4:00PM
 愛知県芸術劇場コンサートホール

 指揮:小林研一郎(名フィル桂冠指揮者)
 コンサートマスター:森岡 聡
 首席オーボエ:上品綾香(京都室内合奏団)

 スメタナ:連作交響詩『わが祖国』

 今回の定期演奏会は名フィルの歴史に残るであろう、素晴らしいコンサートとなりました。
 ”炎のコバケン”さんも84歳。
 登場はトボトボ気味でしたが、暗譜で指揮する姿は実に若々しい。
 チケットはソールドアウトです。

 図らずも昨日郵送された「音楽の友」2024年5月号の表紙はコバケンさんで、余りのタイミングの良さにビックリしました。
 記事によれば、今年はコバケンさんが1974年の第1回ブダペスト国際指揮者コンクールで第1位となった50年目のメモリアルイヤーだそうです。

 第1ヴァイオリンが9プルットという巨大編成で、これなら無理なく豊かな音を出すことが出来るでしょう。
 最初のハープのメロディーから決然とした演奏が始まりました。
 名フィルも完璧な演奏をしたのでは無いでしょうか。

 僕は04年5月にプラハ紀行(2日間)をしたことがあるのですが、カレル橋、スメタナホール、巨大なフス像、ヴィシェフラードのお墓などが思い出され、感慨深いものがありました。
 コバケンさんといえばハンガリーのオーケストラかと思っておりましたが、2002年の「プラハの春音楽祭」では東洋人初のオープニング『わが祖国』を指揮されたそうです。
 そういえばブダペストの2003年のハンガリー旅行でタクシー運転手から突然「日本人ならケンイチローコバヤシを知っているか?」と聞かれ、コバケンさんはハンガリーで一番有名な日本人なのかもしれない、と思いました。

 3曲目「シャールカ」が済んだところで盛大なカーテンコールに成りまして、まず拍手を受けたのはクラリネットのボルショスさん。
 3曲目には長大なソロがあるんですよ。
 「モルダウ」最初の2本のフルートも実に見事な演奏を聴かせてくれました。

 休憩後も充実した演奏が続き、特にフス教関係の2曲に感銘を受けました。
 今、チェコの宗教はどうなっているのでしょうか。
 30年戦争でカトリックになってしまったのでしょうか?
 それにしては旧市街広場にフス像が建っているし……。

 カーテンコールにコバケンさんはマイクを持って現れ、まず今月で名フィルを退団するヴァイオリンの石渡慶豊さん(在団40年)に花束が贈呈されました。

 定期演奏会には珍しくカーテンコールがありまして、マスカーニ:歌劇『カヴァレリア・ルスティカーナ』間奏曲。
 これはちょっとミスマッチかと思いました。
 この曲自体は初見でも弾けるような簡単な曲ですが、細やかな感情表現に感心しました。

 コンサートはこれでは終わりません。
 アンコールの2曲目は『わが祖国』より第6曲「ブラニーク」終結部(389小節目から最後まで)。
 コバケンさんの解説付きで最初は金管楽器全員が立ち上がっての演奏。
 そして弦楽器だけの演奏。
 最後に全員での演奏となりました。
 終演後は団員たちが舞台で握手を交わし、彼らにとっても喜びに満ちた演奏だったのでしょう。

 あれはもう50年以上前の話、コバケンさんが大学院生だった頃、「コバケンさんが名古屋のアマオケを指揮するからエキストラで出ないか?」という話がありました。
 スケジュールが合わず遠慮したのですが、練習は拝見しました。
 残念でしたが、懐かしい思い出です。

 セントラル愛知交響楽団では7月12日(金)に大好きなレオシュ・スワロフスキーの指揮で『わが祖国』が演奏される予定です。
 素晴らしい演奏になるに決まっていますから、今年は『わが祖国』の当たり年でしょうか。