セントラル愛知交響楽団第203回定期演奏会 角田鋼亮音楽監督就任記念
2024年4月27日(土)2:30PM 愛知県芸術劇場 コンサートホール
指 揮:角田鋼亮 ピアノ:務川慧悟*

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 セントラル愛知交響楽団第203回定期演奏会「新しい音色」
 角田鋼亮音楽監督就任記念
 2024年4月27日(土)2:30PM
 愛知県芸術劇場 コンサートホール

 指 揮:角田鋼亮(つのだこうすけ)
 ピアノ:務川慧悟*

 ヨハン・シュトラウスⅡ世:皇帝円舞曲 Op.437
 ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.61 (ピアノ編曲版)*
 ブラームス(シェーンベルク編):ピアノ四重奏曲第1番 ト短調 Op.25(管弦楽版)

 本日の演奏会は常任指揮者だった角田鋼亮さんが音楽監督に就任した記念コンサート。
 また今までのしらかわホール(2月に閉館してしまった)から愛知県芸術劇場コンサートホールにホームグラウンドを移しての最初のコンサートとなります。
 しらかわホールは700席のホールでしたが愛知県芸術劇場コンサートホールは1800席。
 さすがに3階席はガラガラでしたが、1階席と2階席は良く埋まっていました。
 この演目にしては善戦していたのではないでしょうか。

 『皇帝円舞曲』といえば忘れられないのが1987年の「カラヤンのニューイヤーコンサート」。
 僕は別にカラヤンファンでは無いけれど、この時の『皇帝円舞曲』ではカラヤンの指の間から美しい真珠の玉がこぼれ落ちるような強い印象を持ったのでした。
 しかし帰国してから録画したビデオを見たら、ここがバレエになっていたのね。
 心底がっかりしました。

 本日の演奏は元気の良いもので、ワルツよりはマーチみたいでした。

 務川慧悟さんの履歴を調べていたら愛知県立旭丘高等学校卒業とのことでびっくり。
 なんと後輩ではありませんか。
 自分で言うのも何だけれど旭丘高校は進学校で、指揮の角田鋼亮さんの東海高校と並ぶ公私の雄。
 「旭丘高校VS東海高校―名門校ライバルものがたり」 (荒川晃、風媒社)などという本も出版されています。
 旭丘高校出身の文化人としては二葉亭四迷が有名ですが、今や世界に羽ばたく務川さんがトップになっていくのでしょうか。
 ちなみにピアニストであり医師である沢田蒼梧さんは東海高校出身です。

 東京藝術大学1年在学中の2012年、第81回日本音楽コンクール1位受賞、2014年、パリ国立高等音楽院に審査員満場一致の首席で合格し渡仏。
 2019年、ロン=ティボー=クレスパン国際音楽コンクールピアノ部門第2位
 2021年、エリザベート王妃国際音楽コンクールピアノ部門第3位

 本日演奏した曲は1806年に作曲されたベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲を、ロンドンで楽譜出版業を営んでいたクレメンティの依頼により、ベートーヴェン自身が1908年にピアノ協奏曲として編曲したものだそうです。
 メロディー的にはヴァイオリン協奏曲と一緒ですが、大きな違いはベートーヴェン自身が作曲したティンパニ付きの第1楽章の長大なカデンツァ。

 ということで思い出すのが2012年5月3日にザルツブルク・モーツアルテウムで聴いたパトリツィア・コパチンスカヤ
 コパチンスカヤ自身が作曲したという第1楽章のカデンツァはティンパニーとコンサートマスターのソロ(凄く難しそう)が付いたものでした。

 務川さんのソロはきっちりと弾かれていましたが、ソロアンコールの『悲愴』第2楽章とも合わせ、これらの曲では判断は出来ませんでしたね。

 ブラームス「ピアノ四重奏曲第1番」(1859年)は、シェーンベルクがオットー・クレンペラーの依頼により編曲した作品(1938年初演)だそうですが、木琴、鉄琴も入った巨大編成で、熱演だったでしょうか。
 しかし曲が(メロディーも)全然分からず、演奏時間42分を耐えた感じですかね。

 アンコールがありまして、定番の『ハンガリー舞曲第5番』。
 最後は凄いスピードで押し切り盛り上がりましたが、あれでは踊れませんね。