メトロポリタン歌劇場来日公演 《カルメン》 1997年5月28日(水)6:30PM 愛知芸術劇場大ホール |
メトロポリタン歌劇場来日公演 《カルメン》 1997年5月28日(水)6:30PM 愛知芸術劇場大ホール 指揮:プラシド・ドミンゴ 演出:フランコ・ゼッフィレッリ カルメン :ワルトラウト・マイヤー ドン・ホセ :ルイス・リマ ミカエラ :アイノア・アーテータ(AINHOA ARTETA 本人に確認) エスカミーリョ:セルゲイ・レイフェルクス アイノア・アーテータは、アンジェラ・ゲオルギウの代役。 ゲオルギウは開演前にロビーにアラーニャと一緒にいて、元気そうに見えたんだが、どうしたんだろう? その後の情報では、ゲオルギウは金髪の鬘を拒否して、降ろされてしまったんだそうだ。 これは世界的なスキャンダルとなった。 後年出版されたメトの支配人J.ヴォルピの回想録『史上最強のオペラ』には、ヴォルピ自身がわがままなゲオルギウを降ろしたと書かれていた (@o@)。 第1幕の背景は描いた絵で、大道具も質素なもので、チープな感じは否めない。 何より、タバコ工場が出てこないのが不満。 女工なんか上手と下手から出てくるものだから、両側にタバコ工場があるんだろうか? などと思ってしまう。 馬は2頭出てきた。 マイヤーのカルメンは彼女なりに良くやっているんだろうが、やはりキャラクターが違うんじゃないかな? 白い肌、青い目、ブロンドの髪(濃く染めていたようだが)ではね。 あまり悪女には見えなかったな。 『ハバネラ』の最後に、彼女は黄色い花を取り出し、ホセに投げる。 女工同士の喧嘩のシーンでは、カルメンは出てこない。 喧嘩が終わった最後に、ホセに捕まって出てくる。 カルメンは喧嘩の張本人だろう? 今回の演出は全くオーストドックスなもので、それだけに、細かいところまで整合性を持たせて欲しいものだ。 ホセとミカエラの二重唱はこのオペラでただ一つの好きな曲。 ルイス・リマのホセは魅力に乏しい。 アインホア・アーテータのミカエラは声が固いか。 カルメンがホセを誘惑する場面でキスシーンあり。 スニガが入ってくると、ホセが口を拭うのが、何とも生々しかった (^_^) 。 カルメンが逃げるところでは、仲間が荷車を倒すんだが、何の伏線もなしに、こんなことをされてもねえ。 ドミンゴの指揮はきびきびしていいと思ったな。 休憩時間のロビーでの評判は悪かったが‥‥ 時々オケや歌がずれるのは、オケや歌の方に問題があるのではないかと、僕には思われた。 第二幕の酒場は地下にある巨大なもの。 カルメンの踊りは、カスタネットが上手なので感心していたら、オケピットで打楽器奏者が叩いていたんだ (^_^;。 エスカミーリョは普通のブレザー姿で、余り格好良くなかった。 ホセの『花の歌』を聴いていて思ったんだが、この曲をドミンゴが歌えば、全く違う印象のオペラになるんだろうね。 何となく、舞台の芯となるものが無いような気がする。 隊長スニガが突然やって来て、ホセが見つかるところでは、この装置は致命的。 いくらでも隠れるところがあるんだもの (^_^;。 第三幕との間に休憩は無し。 間奏曲のハープは、今週号の『フォーカス』にドミンゴと載っていた安楽真理子さん。 第三幕の幕が開いてびっくりしたんだが、山奥のシーンなのに、第二幕の酒場と大道具が一緒なの (@_@)。 そりゃ、あんまりの手抜きだろう?? それに、こんな夜ふけの山の中にミカエラやエスカミーリョまで出てくるのは、ご都合主義だな。 まあ、今さら脚本に文句いっても仕方ないんだが。 第四幕の舞台は、また、第一幕と同じようなチープな印象。 闘牛場がないのが、また不満。 馬は、また2頭 だったが、『ブルルン』と言ったような気がする (^_^) 。 この幕では、リマのホセは落ちぶれた感じがピッタリ。 カルメンとの二重唱では、往復ビンタを張ったりして。 カルメンが刺される場面も、階段で刺されて倒れるだけ。 こういうのはつまらないんだな。 マイヤーが『ウッ!』と呻いてくれたのが、せめてもだ。 カーテンコールでは、指揮のドミンゴに対する拍手が、一番大きかった。 |