《ローエングリン》
  1997年11月23日 2:00PM 新国立劇場

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        《ローエングリン》
  1997年11月23日 2:00PM 新国立劇場

     演出:ヴォルフガング・ワーグナー
     指揮:若杉 弘

     ハインリッヒ国王:高橋 啓三
      ローエングリン:福井  敬
          エルザ:小濱 妙美
       テルラムント:大島 幾雄
       オルトルート:小山 由美
           伝令:青戸  知

    管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
     合唱:二期会合唱団

 ヴォルフガング・ワーグナーの演出を見るのは、バイロイトの《パルシファル》、オーチャードホールの《タンホイザー》に続いて3回目。
 この《タンホイザー》にはいたく失望したので、今日は10月10日に開場した新しいオペラハウス新国立劇場を見るのが主な目的であった。

 初台には1時ころ到着。 地上に上がるとそこが劇場の入り口だ。
 少し時間があるので、隣の東京オペラシティータワーの53階にあるSABATINIでカプチーノ&生ハムのパニーニ(1050円)を注文。
 カプチーノに文句はないが、生ハムは量が少なかった (^_^;。
 窓から見えるのは東京都庁か?

 開幕の合図は、照明が暗くなったり明るくなったりするんだが、その中を席に戻るため走っている人を見ると、防空警報ということばが頭に浮かぶ (^_^;。

 さて、会場はS席に当日券があったようだが、ほとんど満席。
 照明が暗くなり指揮者の登場を待っていたら、突然前奏曲が始まった (@o@)。
 第1幕は奥に6本の枯れ木(?)が立った抽象的なもの。
 後ろに合唱団が整列しているのは予想通り。

 伝令の青戸さんは良く通る声。

 国王の高橋さんは衣装からして国王に見えない。
 隣に立っている金ピカの盾のほうが豪華なんだものな。
 声も低いほうが出ていなくて、威厳に欠ける。

 喚問に応じて表れたエルザは肥満体。
 当然、可憐という印象はない (^_^;。  声に不満は無いんだが‥‥。

 一方のローエングリンは黒い髪でひげを生やしていて、この役に必要な神聖さ、清らかさが感じられない。
 これでは《トゥーランドット》のカラフだな。

 しかし、髪くらい染めるとか、カツラにしたらどうだろう?
 オルトルートは赤毛にしていたのに。
 ということで、主役の二人はルックス的には僕のイメージからは外れたカップルであった。

 このオペラの演出で注目されるのはローエングリン登場の場面だろう。
 今回の演出は、合唱団が『白鳥だ!白鳥がやってくる!』と歌いながら舞台の奥に集まって、クライマックスで二つに分かれると、そこにローエングリンが立っているという安直なもので、これがバイロイトの総帥の演出かと思うと、ちょっと情けなかった。
 背景におかしなオブジェあり。 白鳥の羽根 ?

 途中で気がついたんだが、僕の席(一階最後列)斜め後ろにあるコントロールルームで、赤と緑のペンライトが振られていた。
 赤が合唱で、緑がブラスバンド用。

 第二幕第一場はテルラムントとオルトルートの、城外の暗闇での二重唱。
 オルトルートの小山 由美さんは、音楽的にも演技の面でも素晴らしかった。
 彼女の歌が終わったときには(たとえワーグナーのオペラではあっても)ここで拍手したい!と思ったものだ (^_^) 。
 テルラムントの大島さんとともに、充実した音楽を作り上げていた。
 奥にそびえる城壁も効果的。
 で、エルザとのやり取りがあって、オルトルートは城壁中央の扉から場内に招き入れられる。
 
 ここで第二幕第二場となるんだが、第二場はエルザの聖堂への入場。
 したがって、城内の聖堂に場面が転換されるわけだ。
 いよいよこの劇場が誇る最新の舞台機構が見られる。
 舞台が回るのか、奈落へ下がるのか、横へ動くのか、わくわくしながら待っていたんだが‥‥結局何も起こらなかった (^_^;。
 エルザの一行はオルトルートが入った城壁の扉から表れるの。

 婚礼の行列が城外へ行進してどうするんだ?
 城外のどこに聖堂があるんだ?
 派手な舞台転換を期待しただけに、僕の落胆は大きかった。
 まあ、勝手に期待して勝手に落胆したんだが (^_^;。
 それにしても、手抜き演出だと思うな。

 ショックでこれからのことはあまり書く気がしないんだが (^_^;、第三幕の長丁場を歌い切った福井さんの健闘は報告しておこう。
 カーテンコールにはヴォルフガング・ワーグナーも登場した。
 
 
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