ヴェルディ・オペラシリーズ第2弾 《ナブッコ》 1998年7月5日(日)2PM 愛知県芸術劇場大ホール |
ミラノ・スカラ座には、一度だけ入ったことがありまして(僕はどこでも一度だけなんですが (^_^;)、1986年12月27日。 その演目が《ナブッコ》。 ムーティ指揮で、ロベルト・デ・シモーネ演出(その後、来日公演もありましたね)。 これが長いし面白くないし、他に不愉快なこともあって、それ以来スカラ座もムーティも、もちろん《ナブッコ》も嫌いになりました。 次に《ナブッコ》に遭遇してしまったのが、1993年8月12日のブレゲンツ音楽祭(ブレゲンツ音楽祭もこれ一度 (^_^;)。 演目が《ナブッコ》と聞いたときにはげっそりしたんだけれど、意外なことにこれがクレーンでフェネーナの入った檻をボーデン湖に沈めたり(もちろん途中までだけれど)してのスペクタクルな公演で面白かった。 演出はパウントニー、指揮はウルフ・シルマー。 休憩なしの2時間版。 この2つの公演の違いは、たとえば驕れるナブッコに神の稲妻が落ちる場面。 スカラ座はネオンがピカピカしてナブッコがバッタリ倒れたんだが、ブレゲンツでは背景が巨大な稲妻型に裂けた (@o@)。 これでこそ神の怒りも表現できるというものでしょう。 演出家の才能の違いをまざまざと見せつけられた思いがしたものです。 ということで、本日が3回目(3回目なのに、まだストーリーが分からないまま (^_^;)の観劇となりました。 開演前に一生懸命プログラムを読んだりして (^_^;。 このオペラを字幕付きで見るのは今回が初めてで、改めて字幕のありがたさが身にしみましたです (^^ゞ。 1:30PMから、永竹由幸氏の解説あり。 『最初に見たときはストーリーが理解できなかったが(そうでしょう (^_^) )、リソルジメント(イタリア独立)運動と重ね合わせると分かりやすい』と。 ヴェルディ・オペラシリーズ第2弾 《ナブッコ》 1998年7月5日(日)2PM 愛知県芸術劇場大ホール 指揮:アントン・グァダーニョ 演出:アントネッロ・マダウ・ディアツ 管弦楽:新星日本交響楽団 合唱:新国立劇場合唱団/藤原歌劇団合唱部 ナブッコ:直野 資 ザッカーリア:ボナルド・ジャイオッティ アビガイッレ:ローレン・フラニガン イズマエーレ:市原 多朗 フェネーナ:森山 京子 アンナ:竹村 佳子 アブダッロ:田代 誠 ベルの祭司長:三浦 克次 序曲の最初のコラールの柔らかい響きを聴いて『今日の演奏は期待できるんじゃないか』と思いました。 第1幕冒頭、舞台奥に開いた扉から合唱団が次々と入ってくる。 その人数の多さにまず嬉しくなってしまった。 ちょっと数えてみたが、100人以上 (@_@)。 彼らは日帰りなんだろうか? それとも泊まり? すぐ費用の計算をしてしまう自分 (^_^;。 一幕最後のユダヤ人の神殿が破壊される部分、ブレゲンツでは10メーターあまりの壁に掴まっていたユダヤ人(服装で分かる)がバラバラと落ちてきて、驚きの叫びが会場から上がったものだ。 しかし、フェネーナって国王ナブッコの娘なのに、どうしてユダヤ人に捕まっているんだろう (@_@)? 理解出来ないことが多いこのオペラだが、理由はプログラムにも書かれてないよね? アイーダが捕まっている理由は良く分かるんだが‥‥。 ストーリーは第2幕になると、ますます(僕には)理解不能になってくる。 特にフェネーナ。 彼女がとても王女(王位継承者)には見えないんだな。 いつもユダヤ人とばかり一緒に(苛められながら)いるし。 ナブッコに神の稲妻が落ちる場面は予想範囲内。 ここはブレゲンツのような驚きが欲しかったところだ。 スカラ座よりは、はるかにましだったが。 『行け想いよ、黄金の翼に乗って』の合唱は、全く静止したままで歌われた。 ブレゲンツでは《ミス・サイゴン》の『サイゴン陥落シーン』のように、牢の格子の向こうから格子にすがりついて歌われ、自由を求める気持ちがひしひしと感じられたものだ。 しかし今回の上演は装置も立派だし、演出にも感心できる事が多かった。 僕は先日のクプファーよりこういう演出の方が好きだな。 3面の舞台を使った場面転換もスムースで、オペラを見る楽しさも十分に味わうことが出来た。 各幕のフィナーレが絵の様に美しかったね。 カーテンコールでは、渋い演目にも係わらずほぼ満席の場内から、盛大な拍手と歓声が飛んでいた。 一番多かったのはナブッコとアビガイッレ。 直野さんの舞台は名古屋でも何回か見せていただいたが、今回が一番良かった。 まあ、主役だから聴かせどころも多いしね (^_^) 。 牢獄でのアリアとか。 アビガイッレのフラニガンは少し声がこの役には優しいかとも思ったが、この難役をこれだけ聴かせてくれれば文句はない。 『行け想いよ、黄金の翼に乗って』が最後にもう一度歌われ、大いに盛り上がって、お開きとなりました。 |