野外オペラとオーストリアの旅(8)1993年8月11日
ブレゲンツ
※ブレンナー峠,湖上オペラ,ボーデン湖,ナブッコ

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 今日はインスブルックで乗り換えて、ブレゲンツへ移動する日だ。
 8:26ヴェローナ発の汽車でインスブルックに向かう。

 ヴェローナからインスブルックに向かう途中にあるブレンナー峠(イタリアとオーストリアの国境になっている)は、昔モーツァルト父子がイタリア旅行の往復に通った峠なので、今回の旅で見るのを楽しみにしていた。
 あの山もこの山もみんなモーツァルトが見たのと同じ山。
 あとは国境を見て、BRENNEROという駅の写真を撮って‥‥それから、ハイウェイが見えた。
 いくつか見えた橋のどれかが有名なヨーロッパ橋か?



 本日も快晴。インスブルックではノルトケッテ山がよく見える。
 シュニッツェルのサンドイッチを買ってブレゲンツ行きの汽車に乗り込む。
 インスブルックからブレゲンツまでの間にはザンクト・アントンなど有名な観光地があり、アルプスの山々がとてもきれいだ。

 15:44ブレゲンツ着。長い旅だった。
 窓口でライゼゲペックを受け取って(ちゃんと着いていて安心した)、駅前でタクシーに乗り、ホテル・メルキュールに向かったが、タクシーはぐるりと回って、結局ホテルは駅のすぐ裏。
 部屋からすぐ前に湖上オペラ劇場が見える、絶好の位置だ。

 まず劇場窓口で予約書とチケットを交換。
 音楽之友社には2年前に、メルビッシュの野外オペラのチケットでひどい目にあっているし、ヴェローナのこともあるのでドキドキしたが、こちらはノープロブレム。

 もう時間もないので、急いでボーデン湖畔、マルティン塔、プフェンダー山を観光。
 中でもプフェンダー山がお勧め。
 ロープウェイで上れば目の前にボーデン湖(右手遠くにリンダウ)が、そして後ろをふり向けばブレゲンツァーヴァルドとアルプスが広がる。
 しかし夕方はボーデン湖が逆光になるので要注意。僕が撮った写真なんか真っ白。




 夕食はガイドブックに載っていた《イルゲ》でケーゼシュペツレ。

 シュペツレは小さい貝殻のようなマカロニの一種か?
 いずれにせよ、オーストリアの郷土料理は値段が安いので助かる (^_^) 。
 少々ボリュームが多かったけれど。



 ボーデン湖をバックにした野外劇場でのオペラはヴェルディ作曲の《ナブッコ》。
 以前このオペラをミラノのスカラ座(指揮リカルド・ムーティー)で見て、つまらなさと、長さ(4時間かかった)に辟易としたことがある。
 『もう一生このオペラは見なくも結構』と思っていたのに、また当たってしまった。

 ところがこれがけっこう面白かった。
 まず、短縮版にして、休憩なしで2時間。
 ヴェローナと違って、マイクが入って声も聴きやすいし、何より演出(パウントニー)と装置が面白い。


 第1幕第2場への舞台転換では巨大な壁が地面から起き上がってくると、その10メーター近い壁にユダヤ教の服を着た人が十数人ぶら下がっている(高所恐怖症ではないエキストラを集めたそうだ)。
 そしてこの幕の最後、ナブッコがヘブライの神殿を襲う場面で、そのぶら下がっていたユダヤ人達がバラバラと落ちて行って、みんなビックリ。
 また人質となったヒロインを入れた檻がクレーンで吊上げられ、湖に沈められたりと大スペクタル。
 操作ミスで頭まで沈没したらどうするんだろう?

 バビロニアに捕らえられたヘブライの囚人達が、故郷を想って歌う有名な合唱『ゆけ我が想いよ、金色の翼に乗って』の所の演出は、鉄の柵の向こうからヘブライの囚人達(100人くらいか?)がこちらに向かって歌う演出。
 これは、ミュージカル『ミスサイゴン』の《サイゴン陥落》のシーンの影響があると思った。


 演奏中にも右手にプフェンダー山ロープウェイの灯りが、上がったり下がったりするのが見える。
 また、ブレゲンツ〜リンダウ間の汽車が時々通って、大きな音がするが、それも野外オペラの楽しさだと納得する。

 防寒具は必携。 貸毛布あり。
 音楽之友社から来た注意書きには『格調の高い音楽祭なのでそれにふさわしい服装で』と書いてあるが地元の人はダウンジャケットなぞを持っている。(写真参照)
 始まる時間(9時)にはそれほど寒くなくても11時を過ぎると猛烈に寒くなる。

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