ロンドン・オペラとミュージカルの旅
26) 《レ・ミゼラブル》
 95年6月7日(水)

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 街の中はすごく混んでいたが、なんとか開演ギリギリに《パレス劇場》に到着。

 パレス劇場の内装はクラシックなものだが、少し古くなっているようだ。
 椅子の前後の幅は、他の劇場より広い。
 舞台はやはり名古屋の中日劇場よりずっと狭い(中日劇場が広すぎるのか)。

 《レ・ミゼラブル》は、ヴィクトル・ユーゴー(1802~1885年)が1862年に執筆した大河小説をミュージカル化したもの。
 原作はあまりに長大で、カットされている部分も多いのですが、ミュージカルのクライマックスとなるのは1832年6月5日から6日にかけて、パリで起こった「六月暴動」。

 僕がこのミュージカルを初めて見た時は「ジャン・バルジャンがパンを盗んで監獄に長く入れられ、出獄してから神父様の食器を盗んだが赦された」という程度の理解でしたが、その場面は最初の5分から10分くらいで過ぎてしまい、次に出てくるバルジャンは市長様ですからね。
 何が何だか分かりませんでしたよ (^_^ゞ。

 作曲者のクロード=ミシェル・シェーンベルクは、十二音技法で有名なアーノルド・シェーンベルクのお兄さんの子孫。
 音楽の歴史に名前が残るのはアーノルド・シェーンベルクでしょうが、クロード=ミシェル・シェーンベルクの方が、ずっとお金持ちなんでしょうね。
 彼やアンドリュー・ロイド=ウェッバー(オペラ座の怪人)が「現代のプッチーニ」と呼ばれるように、現代クラシックのオペラが不協和音に埋没し、数回の公演しか出来ないのに対し、彼らのミュージカルはプッチーニのような美しいメロディーを持ち、ドラマチックな舞台作りで多くのファンを何年(何十年?)も集めています。

 このロンドンの舞台は、出演者のレベルが高く、大変満足できるものだった。
 特に、学生たち。
 一人一人に存在感がある。
 当然のことながら学生みんな欧米人で、カフェの場面など『これが本物なんだ』なんて思ってしまう。

 考えてみれば、この話は僕のまわりに座っているヨーロッパの観客にとっては、百数十年前に実際にあった話、自分たちの話なんだね。
 そう思うとバリケードで学生たちが死んでいく場面なんか粛然としてしまった。

 最後は初めて経験するスタンディング・オベイジョン。

 もし、ロンドンでロングラン公演を一つ観たいということなら、ためらわずこの《レ・ミゼラブル》をお薦めしたい。

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