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ラムケバブを食べてから、ストランドにあるアデルフィー・シアターを目指す。 ストランド通りではサヴォイ・ホテル、シンプソンズなどの前を通る。 シンプソンズのビーフ・ステーキは食べてみたかったが、この次奥さんと来た時のために残すことにする。 15時からは《サンセット大通り》。 アデルフィー・シアターは近代的な劇場。 この公演ではノーマ・デズモンド役のエレイン・ペイジに圧倒されてしまった。 このミュージカルの原作はビリー・ワイルダー監督の同名の映画。 売れっ子作曲家のロイド・ウェッバーの最新作です。 売れない脚本家のジョー・ギリスが借金取りに追われて車で逃げ込んだのは《サンセット大通り》にある豪邸。 そこには往年の大女優ノーマ・デズモンドが住んでいた。 彼女は銀幕へのカムバックを夢み、ジョーの力を借りて《サロメ》の台本を完成させようとする。 そして、やがてジョーはノーマの若き愛人となって。。。 最初はプールに死体が浮いているシーンから始まり、すぐジョー・ギリス(ジョン・バローマン)が説明の歌を歌い始める。 バローマンはかっこいいけれど、声は大したことはないね。 実はこのミュージカル、最初のうちはあまり面白くなかった。 ただ話が進んでいくだけだし、舞台に飛んでいる虫が照明に輝いていて、『こりゃペケかな?』という寂しい気持ちになる。 ノーマの『私は今でもビッグ。スクリーンが小さくなった』とかいう有名なせりふも『フン!』何て思って聞いてた。 大体、名画と言われる原作の映画からして、頭の中でこしらえたような話で気に入らなかったし、名演と言われる映画女優グロリア・スワンソンの演技もわざとらしくて嫌だった。 ところが、エレイン・ペイジが《With One Look》を歌い始めたら、僕はあっと言う間にノックアウトされてしまった。 この人すごいよ。 僕はオリジナル・キャストのパティ・ルポンも、ブロード・ウェイで話題のグレン・クロースも、見たことはないんだけれど、エレイン・ペイジこそが最高のノーマ・デズモンドだと言っておこう。 歌も演技もこれ以上のものは考えられないんだもの。 ロンドンの情報誌《タイム・アウト》にも、『ELAINE PAIGE IS BACK』という見出しで、『ミス・ペイジは背すじに戦慄をもたらし、《イギリスのトップ・ミュージカルスター》としての世評を、再び確実なものとした』というデイリー・エクスプレスの批評が書かれている。 このミュージカルのもう一つの名曲《As If We Never Said Goodbye》なんか、久しぶりにハリウッドのスタジオを訪ねたノーマが、彼女に気付いた照明係にライトを当てられて歌い出すという、わざとらしい場面なんだけれど、ペイジの歌唱力とロイド・ウェッバーのロマンティックなメロディーに体中が揺すぶられるような思いだ。 ジョーと若い恋人ベティの愛の二重唱もいい曲だね。 この辺になると、僕メロメロ。 わざとらしいと言えば最後の場面、去っていこうとするジョーを射殺し、狂ってしまったノーマが階段から下りてくると、執事にして元夫、元映画監督のマックスが『カメラズ! アクション!』と叫び、彼女がポーズを取るという、恥ずかしくていたたまれないような所なんだけれど、『もう、エレイン・ペイジなら何でも許しちゃう』という心境。 カーテンコールで彼女が出てくると、観客全員が一斉に立ち上がった。 当然のことだろう。 これは一生忘れられないね。 それと、ノーマの屋敷は金ピカでとっても綺麗。 パイプオルガンまである。 この舞台がそのまま2メートルくらい上がって下にバーが現れる場面は(必然性があるかどうかは別として)このミュージカルの売り物だが、やはり見応えがある。 《空飛ぶじゅうたん》とか《空中浮遊》という言葉が、頭に浮かぶ。 《タイム・アウト》によれば、エレイン・ペイジは12月2日まで出演するそうだ。 ただし、木曜のソワレはお休み。 僕が観たのは木曜のマチネだから、危ないところだった。 ◇ エレイン・ペイジのCD & 経歴 帰国後『ドレス・サークル』(ロンドンの通販)のカタログを調べまして、エレイン・ペイジのCDを全て注文してみました。 ミュージカルとしては《EVITA》(1978年)、《CHESS》(1984年)。 ソロアルバムは《Stages》(1983年)、《Cinema》(1984年)、《Love Hurts》(1985年)、《Piaf》(1994年)、《Romance & the Stage》(録音年不明だが古そう・made in Germany)、となっております。 《Cats》(1981年)と《Encore》(1995年)と合わせ、これで9つのCDを手にすることが出来ました\(^o^)/。 で、僕が大感激したエレイン・ペイジがどういう人か、CDの解説を読んでみました。 あまり自信がないんですが‥‥ 最初の舞台は、1964年の《THE ROAR OF THE GREASEPAINT》のツアー。 1967年には、ウェストエンドの《HAIR》のコーラス。 1973年に初の主役、《GREASE》のSandy。 そしてすぐ、マイケル・クロフォードの相手役として、《BILLY》のRita。 1978年、《EVITA》のオリジナルキャストのタイトル・ロールとして、『アルゼンチンよ泣かないで』を歌う。 1981年、《CATS》のオリジナルキャストのグリザベラとして、『メモリー』を歌う。 その後、《ABBACADABRA》《CHESS》《ANYTHING GOES》《PIAF》に出演。 《CHESS》はオリジナルキャストで、バーバラ・ディクソンと歌った《I Know Him So Well》は、イギリスのヒットチャートNo 1となる。 そして、《サンセット大通り》になるようです。 |