ロンドン・オペラとミュージカルの旅
30) ROH 《ラ・ボエーム》
 95年6月8日(木)

前へ  ホームページ  ロンドンの目次  次へ
 

 この日はロイヤル・オペラ・ハウスで《ラ・ボエーム》が上演されていたので、《オペラ座の怪人》は第一部でおしまい。
 タクシーでロイヤル・オペラ・ハウスに向かった。

 ということで、今回の音楽紀行最後の演目は、ロイヤル・オペラ・ハウスの《ラ・ボエーム》(プッチーニ作曲)。
 パリの屋根裏部屋に住むボヘミアンたちを主人公とするこのオペラは、僕の一番好きなオペラの一つ。
 タクシーの中でも、期待が膨らむ。

 劇場に到着すると、係員の先導で、狭い廊下を通って劇場内に入る。
 イギリスのオペラ・ハウスでは、遅れてきた観客はその幕の間は2階の後ろで立って見ることになる。
 そこには何人も立って見ている人がいたが、あれは立ち見席なんだろうか?

 ちなみにミュージカルは遅れていっても係員に堂々と座席まで案内してもらえるようだ。

 場面は第三幕、ちょうど《ミミの別れ》の部分。
 貧しい詩人のロドルフォとお針子のミミは屋根裏部屋で同棲生活を送っていたんだけれど、ミミは結核にかかってしまい、彼らの寒い部屋が身体に良くない。
 で、ロドルフォはミミと別れる決意をし、ミミも『さようなら、身体を大事にしてね』とロドルフォに別れを告げ、お金持ちの子爵の愛人となるため去っていく、という哀切きわまりない場面。

 指揮:JAN LATHAM-KOENIG  演出: JOHN COPLY
 再演演出: RICHARD GREGSON

 はっきり言ってこの舞台にはがっかりした。
 舞台装置なんか貧相で、アマチュアオペラのレベル。

 ミミは CYNTHIA HAYMON という黒人歌手だったが、これが大根役者。
 ロドルフォの TITO BELTRAN の身長が低いため、抱き合っている場面なんか大木にセミというか、よく見ても母親と息子。

 第四幕は、ロドルフォは兄貴分の画家マルチェルロと暮らしている。
 このマルチェルロも恋人のムゼッタと別れたばかりなんだけれど、なんと彼は全裸のモデルを相手に絵を描いている(^^;(後ろ向きだけど)。

 でもお金もないのにモデル料はどうなっているのか? 愛人なのか? などと余分なことに頭が回る。
 こういう演出は迷惑‥‥でもないか? 気持ちは複雑 (^^)。
 ついオペラグラスで‥‥ (^_^ゞ。

 ミミが死ぬところだって、窓際にいたロドルフォはミミの様子がおかしいのに気付いて、どうするかというと‥‥マルチェルロと抱き合うの。
 常識的に考えて、まずミミのところへ飛んでいくものだろう?

 せっかくの《ラ・ボエーム》だったけれど、残念な結果だった、と言っておこう。

 ロイヤル・オペラ・ハウスは原語上演だが、プロセニアムの上に英語の字幕が出る。
 いずれにせよ、僕には分からないけれど(^^;。

 この日、ロイヤル・フェスティヴァル・ホールでは、僕が(五嶋みどりと並んで)世界最高のバイオリニストだと確信しているマキシム・ヴェンゲーロフが、大好きなブルッフのバイオリン協奏曲を演奏する予定もあり、こんな街に住んでいたら体がいくつあっても足りない。

 オペラ終了後地下鉄で帰ろうと思ったら、目の前でシャッターが降りてしまった。
 ストなんだか事故なんだか分からない。

 タクシーでホテルに帰って、ホテルのパブで黒ビールを飲む。
 このビールって泡がおさまるまで時間がかかるのね。

ホームページ  ロンドンの目次  次へ