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5月4日はワーグナーファンの聖地であるバイロイトへ行ってみた。 DBのカウンターは朝6時から開いている。 ここでもらった書類が優れもの。 ニュルンベルク駅の出発時間と出発ホーム、バイロイト駅の到着時間と到着ホーム、そして帰りのバイロイト駅の出発時間と出発ホームが書かれているのだ (@o@)。
![]() 「地球の歩き方」には「普段は何の変哲もない静かなドイツの地方都市バイロイトはワーグナー音楽祭のシーズンともなると世界中から10万人といわれるオペラファンが訪れ、様相が一変してしまう」と書かれている。 実際に訪れたバイロイトは活気にあふれた地方都市だった。 間違った先入観は持たない方がいい。
駅前の道を真っ直ぐ進むと噴水のあるヴィルヘルム広場。 そこから右手を見ると、祝祭劇場に続くニーベルンゲン・シュトラッセが真っ直ぐに伸びている。
僕は一回だけバイロイト歌劇場で観劇したことがあって、それは1980年8月16日(土)。 演目は《パルジファル》で、一度もワーグナーのオペラを見たこともない初心者に、ワーグナー最後のオペラとは荷が重い演目だった。 指揮:ホルスト・シュタイン 演出:ヴォルフガング・ワーグナー アムフォルタス:ベルント・ヴァイクル ティトゥレル:マッティ・サルミネン グルネマンツ:テオ・アダム パルジファル:マンフレード・ユング クリングゾル:ファランツ・マツーラ クンドリー:ドゥーニャ・ヴェイソヴィッチ 暗闇の中から聞こえてきた前奏曲にもゾクゾクしたが、第一幕の舞台転換の音楽、グルネマンツとパルジファルが舞台奥(すごく遠い)に消え去ると、周囲から大道具が集まってきて聖杯城を型作り、聖杯の騎士達が歌いながら入城してきた場面には、「これこそワーグナーオペラの最も深奥な神殿だ」と痺れあがったものだ。
ただ、あの時は観光バスが劇場裏の駐車場に停まり、そこから直接劇場に入ってしまったため、裏口入学のような後ろめたさがあって、いつか正しい道でワーグナーの神殿に詣でたいと思っていたわけだ。 ヴィルヘルム広場から祝祭劇場までは緩やかな上り坂で、およそ15分。 新緑の並木道の中央に祝祭劇場がだんだん大きく見えてくる。
本当は夏の音楽祭の時に来ると良いのだろうが、チケットが高くて取りにくそうだし、映像などで見ると、最高のワーグナーのオペラがバイロイトで上演されているわけでもなさそうだからね。 ヴォルフガング・ワーグナーが演出したバイロイト来日公演《タンホイザー》や新国立劇場《ローエングリン》にはがっかりしたし、僕にとって最高のワーグナー指揮者は飯守泰次郎先生だから。
そして、いよいよ劇場のガイドツアーだ。 ワーグナーが自分のオペラの理想の上演を目指して、オケピットを舞台の下に入れてしまった独特の構造を持つ劇場。 その伝説の劇場の内部を、いよいよ見ることが出来るのだと胸が高鳴る。 「地球の歩き方」には、午前のガイドツアーは10時と10時45分と書いてあるので、10時前に劇場左手の受付に行ってみた。 ところが! そこには「本日はFUHRUNGEN無し」との掲示がしてあって、誰も並んでいない。 FUHRUNGENが何だか知らないが、大変まずい事態になったことは容易に理解された。 掲示によれば、06年4月3日から音楽祭まで、劇場のガイドツアーはないようだ。 これは今年だけのことだろうか、それとも毎年なのだろうか? いつの日か再アタックするとして、しっかりとした情報が知りたいものだ。
今回のドイツ旅行の最大の目的が、ここに無惨にも飛び散ってしまい、しばし再起不能 (^_^;。 しかしどうしようもないので、ガラス越しに劇場内部の写真を撮って、バイロイト駅に戻った。 気が付けば、バイロイト駅前から丘の上にある祝祭劇場が見えていた。
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