ウィーンミュージカル《エリザベート》(8)
◇ 彼女か我々か/恥ずかしがらないで/病気
 
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◇シーン4 ゾフィー皇太后のサロン

 『彼女か我々か』

 これもスタジオ録音CDに無いナンバー。
 驚いたことに、ゾフィーを初めとする宮廷の人々は、腰に大きな木馬を付けて現れる (@o@) 。
 床が格子になっているので、チェスのイメージか?

 彼らはフランツ・ヨーゼフとエリーザベトの仲を裂くための相談をしている。
 で、フランツ・ヨーゼフに浮気をさせよう、ということになったらしい。

◇シーン5 ウィーン市内・ヴォルフ夫人の娼婦館

 『恥ずかしがらないで』

 舞台は変わって、ウィーン市内・ヴォルフ夫人の娼婦館。
 女主人のヴォルフ夫人が『恥ずかしがらないで。この館で何を気取っているの?』と歌うところへ、密命を受けたグリュン伯爵がやって来て、フランツ・ヨーゼフのために一人の売春婦(マドレーヌ)を選ぶ。

◇シーン6 シェーンブルン宮殿・エリザベートの体育室

 『DIE MALADIE/病気』

 エリーザベトが体育室で倒れているのを、女官が見つける。
 『HILFE! EIN ARZT!(助けて、お医者さまを!)』ということで、ゼーブルガー医師がやって来る。
 ゼーブルガー医師は王室の侍医で、エリザベートはあまり彼に心を許していなかったということだ。

 ゼーブルガー医師は、彼とエリザベートの二人だけにすることを要求する。
 そして、彼はエリザベートに、彼女の病気がフランス病(性病として有名な梅毒)である事を告げる。

 そうか、そうだったのか\(^o^)/
 スタジオ録音CDのリブレットを翻訳していて、ヴォルフ夫人の娼婦館の場面で、『密命を受けたグリュン伯爵が、infizierte Madeleine を選んだ』というところがあったんだが、僕には『感染したマドレーヌを選ぶ』ということがどうしても理解できなかった。

 そうか、そうだったのか。
 グリュン伯爵が選んだ女性が、たまたま梅毒に感染していたんだね。
 で、フランツ・ヨーゼフが彼女から感染してしまい、エリーザベトにも梅毒をうつしてしまったんだね。

 ブリギッテ・ハーマンの『エリーザベト』(朝日新聞社・179ページ)によれば、当時からウィーンでは皇帝が若妻に性病をうつしたという根強い噂があるそうだ。
 また、エリザベートが「あなたは皇帝の情事を取り持った」とグリュン伯爵をなじったという風説もあるそうだ(188ページ)。

 フランツ・ヨーゼフに対する信頼を失い、あまりの不名誉に自殺まで考えるエリザベート。
 ここでエリザベートは、ゼーブルガー医師がトートであることに気付く (@o@) 。

 トートは『これが最後のチャンス。さあ、最後のダンスを踊ろう』とエリザベートを誘う。
 梅毒の女性を誘うとはトートも怖いもの知らずだな (^_^;。

 しかしエリザベートはトートの誘いを再び拒否した。
 『彼(フランツ・ヨーゼフ)が犯した罪は、私に彼との鎖を断ち切る権利を与えた』とエリザベートは歌う。
 彼女はウィーン宮廷を抜け出す口実をやっと見つけ、旅に明け暮れる『安らぎのない年』が始まった。
 

 
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