続・太宰治の『津軽』を巡る
(15)西村京太郎『五能線の女』を巡る 2009年9月21日(月)

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 かつて十津川警部の部下であった私立探偵橋本豊は、五能線「リゾートしらかみ」に乗る旅をしました。
 彼はリゾート施設「ウェスパ椿山」駅で降り、まずスロープカーに乗り、展望台に向かいました。
 展望台からは日本海や世界遺産白神山地の雄大な景色を眺めることが出来ました。

 その夜、橋本は日本海の夕陽を望む露天風呂が有名な「不老不死温泉」に宿泊しました。
 夕食は海で獲れる魚を主とした海産物料理でした。
 
 翌日、橋本は「ウェスパ椿山」駅に戻り、「橅(ぶな)」編成の「リゾートしらかみ3号」に乗りこみました。
 「リゾートしらかみ3号」は「千畳敷」駅で、観光のため10分間の停車をするところがポイントでしょうか。
 
リゾートしらかみ3号 橅編成 スロープカー「しらかみ号」
ウェスパ椿山駅 「ウェスパ椿山」全景
展望台 日本海と白神山地


 そして翌日五所川原市に着いた橋本は、「千畳敷海岸」にある太宰治文学碑の前で発見された女性死体の殺人容疑者として逮捕されてしまいました。

 彼は五所川原警察署に拘留され、厳しい取り調べを受けました。
 そして、橋本を助けるために活動していた恋人の阿部純子までもが、五能線の車内で起きた殺人事件の容疑者として、青森県警の監視下に置かれてしまいました。

千畳敷 太宰治文学碑 五所川原警察署
 
 
 十津川警部はかつての部下を助けるために、亀井刑事と津軽にやって来ました。
彼らは阿部純子と同じように五能線の深浦駅からタクシーに乗り、彼女が回ったとおりに西海岸を回ってみることにしました。

 十津川警部らは「千畳敷」から「ウェスパ椿山」へタクシーで巡り、喫茶店でコーヒーを飲みましたが、トリックは「ウェスパ椿山」の「蜃気楼ダイヤ」にありました。
 
深浦駅からタクシーに乗り 千畳敷駅からウェスパ椿山へ


 このミステリーは平成18年(2006年)に出版され、当時の時刻表がトリックに使われています。

 「リゾートしらかみ」はあきた白神駅・十二湖駅・ウェスパ椿山駅・深浦駅の4駅の中から好きな駅で一旦下車し、観光の後、再び同じ列車で目的駅へと向かう事が出来ます。

 「リゾートしらかみ」は深浦駅で止まった後、時刻表にはない動きをし、岩館駅まで引き返し、時間になると十二湖駅・ウェスパ椿山駅で乗客を乗せて、深浦駅に戻ってくるのです。

 これが「蜃気楼ダイヤ」と呼ばれるものですが、この「蜃気楼ダイヤ」は2006年春に終了したそうです。
 
 
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