太宰治『津軽』落ち穂拾いの旅  Ⅱ
9)太宰治「思ひ出」の蔵/再び 2015年8月16日(日)

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 次に2014年10月12日に訪れた、太宰治「思ひ出」の蔵を覗いてみました。
 すると前回と景色が変わって、玄関には大きな金庫が置かれていました。

 この金庫は叔母きえが金木から分家し、津島歯科の蔵を建てたときからこの蔵に置かれていたそうです。
 そして二度の大火にも焼けることはありませんでした。

左に「蔵」、右に「立佞武多の館」 太宰治「思ひ出」の蔵
玄関に金庫 太宰も聞いた蓄音機


 そして今回見た(聞いた)のが『思い出』に出てくる蓄音機です。
 手回しのSP(鉄針)でしたが、とてもシャープな音でした。

『思ひ出』
 さういふことから、私は兄のレコオドの洋樂よりも邦樂の方に早くなじんだ。ある夜、私が寢てゐると、兄の部屋からいいが漏れて來たので、枕から頭をもたげて耳をすました。あくる日、私は朝早く起き兄の部屋へ行つて手當り次第あれこれとレコオドを掛けて見た。そしてたうとう私は見つけた。前夜、私を眠らせぬほど興奮させたそのレコオドは、蘭蝶だつた。

『蘭蝶』
 新内節。本名題「若木仇名草 (わかきのあだなぐさ) 」。初世鶴賀若狭掾 (つるがわかさのじょう) 作曲。安永年間(1772~1781)成立。太鼓持ち市川屋蘭蝶が新吉原の遊女此糸 (このいと) となじみ、女房お宮との板ばさみになって、此糸と心中する筋。新内節の代表曲。此糸蘭蝶。

 「思ひ出」の蔵では、蘭蝶のレコードを探しているそうです。
 
 
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