サイトウ・キネン・フェスティバル 松本
ヤナーチェック:オペラ《イェヌーファ》全3幕
2001年9月3日(月)6:30PM 長野県松本文化会館

「REVIEW01」に戻る  ロバート・カーセン観劇記録
 

◇イェヌーファ(松本 9/3)

 僕はカナダの演出家「ロバート・カーセン」の大ファン。
 イングリッシュ・ナショナル・オペラ《真夏の夜の夢》ケルン歌劇場《ファルスタッフ》という2つの演目を見たのですが、いずれも才気に満ちあふれた、忘れられない舞台でした。

 そのカーセンの日本デビューとあれば、これを見逃すことは出来ません。
 また、一生に一度はサイトウ・キネン・フェスティバルに行ってみたいものだと思っておりました。
 ということで、午後の仕事をさぼって (^_^;、松本に出かけました。

 名古屋(千種)から特急『しなの』で約2時間。
 到着した松本は雨が降っていました。
 駅には特に会場へ行き方の表示もなく、旅行者に対する配慮が足りないような気がしました。
 バスターミナルは、駅前に建つエスパというデパートにありました。

 まず食堂街で、ソースかつ丼と信州そばのセット(950円)。
 これで信州名物を2つクリアしました (^_^) 。
 バスターミナル6番から『信大病院経由、浅間温泉行き』に乗り『総合体育館』で下車。240円。
 この日はテレビ録画が行われているようで、『チケット求む!』のカードを持った女性も、何人か立っていました。
 なかなか華やいだ雰囲気で、『日本のザルツブルク音楽祭』でしょうか (^_^) 。

      サイトウ・キネン・フェスティバル 松本
    ヤナーチェック:オペラ《イェヌーファ》全3幕
 2001年9月3日(月)6:30PM 長野県松本文化会館

    指揮:小澤征爾  演出:ロバート・カーセン

      イェヌーファ:エレナ・プロキナ
     コステルニチカ:ジェーン・ヘンシェル
         ラツァ:ステファン・マルギタ
       シュテヴァ:デイヴィッド・キューブラー
    ブリヤ家の女主人:メナイ・デイヴィース

 このオペラに出てくる人間関係は大変複雑で、僕もよく理解できていないんですが、大体以下の通り。
 若い村娘イェヌーファは浮気者の色男シュテヴァの子どもを妊娠している。
 ラツァ(シュテヴァの義理の兄弟)はイェヌーファを愛している。

 やがてイェヌーファは出産し、シュテヴァは逃げ出す。
 イェヌーファを何としてもラツァと結婚させたい継母(コステルニチカ)は、赤ん坊を川に投げ捨てる。
 いつの時代も、素行の悪い娘を持つと母親は苦労する、というお話でしょうか (^_^;。

 僕はこのオペラを観るのは初めて。
 よく出来たストーリーだとは思いましたが『病気で眠っている間に赤ん坊が死んでしまった』と言われたら、死んだ赤ん坊を一目見たいとか、お墓にお参りしたいとか、そういう気持ちになるのではないでしょうか?
 あまりにも話がスムーズ進んで、その辺に引っかかりはありましたね。

 さて、お目当てのロバート・カーセン演出。
 砂漠のような赤土の舞台に壁(コーラスによる人力移動 (^_^;)で囲んだ狭い部屋を作り、そこで濃密な人間ドラマが繰り広げられます。
 適切な演技と、照明プランがポイントでしょうか。
 あまりお金を掛けなくても、アイディア一つで素晴らしい舞台を作り上げることが出来る、という見本ですね。
 衣装は民族衣装ではありませんでしたが、その方が、話が普遍的になるでしょうか。
 ロバート・カーセンの日本デビューは大成功、ということで、僕は大変に満足いたしました (^_^) 。

 キャストでは、何と言ってもコステルニチカのヘンシェルが素晴らしかった。
 第二幕の嬰児殺しを決意する場面は、ヤナーチェックの緊張感に満ちた音楽、強い照明を当てたカーセンの演出とも相まって、怖ろしいばかりのクライマックスとなっておりました。

 小澤征爾指揮するオーケストラは、洗練された上品な音楽でした。
 このオペラには、もう少し野性的な激しさを求めたいような気もしますが、春の《コジ・ファン・トゥッテ》に較べれば、はるかに上出来だったでしょう。
 いずれにせよ、この公演が今年の日本における最高のオペラ上演になるであろう、と僕には思われました。

 休憩は一幕の後に1回。 終演は9時15分。
 カーテンコールは、フラッシュの無法地帯でした。

 シャトルバスで松本駅へ。
 21:49 の快速で中央本線を名古屋と反対方向に、22:50 長野着。
 22:55 の急行『ちくま』は22:30 入線。
 早速ハル○オンを飲んで、準備完了。
 松本駅を通る頃には、もう熟睡状態でした。 5:00 名古屋着。
 『中央高速を使えば12時には自宅に着く』と言われているんだけれど、運転が嫌いなんですよね (^_^ゞ。

 ※これから観劇される方は、ここからは読まないで !!

 過去に見たロバート・カーセンの演出には、何かしらのサプライズがありました。
 この《イェヌーファ》にはそれが無いな、と思って見ていたんです。

 第三幕フィナーレ、全てが終わったあと、取って付けたようなイェヌーファとラツァの愛の二重唱(「二人でやり直そう」とか)があります。
 この二重唱は必ずしもヤナーチェックの本意ではなかったようですが、それはさておき、松本の舞台に戻ります。

 コーラスによって全ての大道具が運び去られ、舞台は広い空間となります。
 そこで二重唱が歌われるんですが、途中から雨が降ってきました (@o@) 。
 照明の反射具合から見て、かなり強い霧雨です。

 正直な話、僕は感心しませんでした。
 この雨はなくてもいいんです。
 雨を降らせるために、いくらのお金がかかっているのでしょう?
 一度見れば、二回目からはネタバレになってしまうのに。
 費用対効果の面で‥‥僕はケチなんでしょうか (^_^;?
 
「REVIEW01」に戻る  ロバート・カーセン観劇記録