蒲郡市民オペラ 《カルメン》 2004年12月26日(日) |
蒲郡市制50周年記念 オペラ《カルメン》 2004年12月26日(日)2:00PM 蒲郡市民会館 大ホール 指揮:小川和人 演出:岩川 均 カルメン:近藤にれ ホセ:笛田博昭 エスカミーリョ:澤脇達晴 ミカエラ:三輪 栄 フラスキータ:天野久美 メルセデス:谷田育代 ダンカイロ:滝沢 博 レメンダート:中井亮一 スニーガ:伊藤貴之 モラレス:中野嘉章
歌詞はフランス語で字幕付き。 セリフの部分は日本語による上演です。 笛田さんのホセは「もう少し演技力があるといいか。ミカエラとの二重唱でファルセットに逃げたのは不満」などと見ていたのですが、最後のカルメンとの二重唱が凄まじかった。 太く声量のある笛田さんの声はこの二重唱にピッタリだろうと期待していたのですが、期待を遙かに上回る出来で、手に汗を握りました。 このレベルならウィーン国立歌劇場でも通用するのではないかと、かつてウィーンで《カルメン》を見た僕は思うんですけれどね。 カーテンコールで笛田さんが登場すると拍手は一段と高くなり、あちこちから熱狂的な「ブラヴォー!」が飛びまして、会場に来られた皆さまには衝撃を持って迎えられたようです。 笛田さん次のコンサートは3月30日の「プッチーニの魅力@しらかわホール」でしょうか。 近藤さんのカルメンは、少し妖艶さに欠けるような気もしましたが、終わり良ければすべて良し。 男声ソリストは、最近どこかの舞台で見た顔ばかりです。 スニーガの伊藤さんなどは、四日市と長久手の《ラ・ボエーム》で見ていまして、名古屋のオペラ公演は名古屋芸術大学の実技補助員が中心となっていくようです。 スニーガは一幕の最後で、カルメンを逃がしてしまったホセを2回も殴り倒していました。 エスカミーリョの澤脇さんは「闘牛士の歌」でテーブルに登ろうとして椅子が倒れ転落 (@o@)。 しばし立ち直れませんでした。 今回の公演の主催は蒲郡フィルハーモニー管弦楽団。 指揮の小川和人さんは蒲郡フィルの音楽監督で市立大塚中学校長。 かつては吹奏楽とオーケストラのコンクールに明け暮れたという実力派です。 コンサートマスターが上手だなと見ていたのですが、この人は愛知県芸の助教授。 管楽器のソリストも良い出来でした。 おかしかったのはオケピットが機械で上下すること。 前奏曲や間奏曲の最初はオケが見えているんですが、演奏している間にだんだん下がっていって、舞台のカーテンが上がるときには客席から見えなくなっているんです。 演出の岩川均さんは名古屋の俳優であり演出家。 僕はかつて岩川さんがエル・ガヨを演じた《ファンタスティックス》を見て痛く感銘を受け、ニューヨークの舞台を見に行ってしまった鮮烈な記憶があります。 今回の装置は舞台奥に高い通路を組んで階段で上り下りする本格的なもので、第3幕ではその前に紗幕を下ろして照明で山の中にしていました。 演出は正統的ながら陳腐に陥らない、まったく納得がいくものでしたが、特に舞台を埋め尽くすコーラスの動かし方が素晴らしい。 合唱は250人と聞きましたが、女声は一人につき一幕が担当になっているようです。 年配の女性も見られましたが、とっても良かったですね。 子供の合唱は市立中央小学校合唱部が50人。 蒲郡の小学校の合唱部は数々のコンクールに入賞しているそうで、これもハイレベルで驚きました。 蒲郡市長が酒場「リーリャス・バスティア」の主人役で登場し(セリフのみ)健闘していましたが、それでもアマチュアの限界を見せてくれました。 数百人の出演者が並ぶカーテンコールはまったくの見物で、満席の客席から盛大な拍手がいつまでも続いていました。
その後、ニフティ時代の過去ログを読んでおりましたら、中井さん(第一・第二幕)と笛田さん(第三幕)がホセを演じた「名芸大《カルメン》2000年3月16日」のレポートを発見しました。 |