関西二期会 《ノルマ》
2006年5月28日(日)2:00PM

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 毎回レベルの高い舞台を見せてくれる関西二期会のオペラ公演。
 今回の演目は珍しいベッリーニの《ノルマ》ということで楽しみに出かけましたが、これは期待を上回る素晴らしい公演でした。

 《ノルマ》は03年6月24日にカターニア・ベッリーニ大劇場の公演を見たことがありますが、これはひどかった。

尼崎市総合文化センター 尼崎アルカイックホール
 

       関西二期会 《ノルマ》 全二幕
 作曲:ヴィンチェンツォ・ ベッリーニ(1801〜1835)

      指揮:大勝秀也(おおかつしゅうや)
      演出:松本重孝 (まつもとしげたか)
   
       2006年5月28日(日)2:00PM
         尼崎アルカイックホール

       ノルマ:垣花 洋子(かきはなようこ)
   アダルジーザ:中川 令子(なかがわれいこ)
    ポリオーネ:竹田 昌弘(たけだまさひろ)
   オロヴェーゾ:山中 雅博(やまなかまさひろ)
   クロティルデ:大越智比咲英(おごちひさえ)
   フラーヴィオ: 林  寿宣(はやしひさのぶ)

       合 唱:関西二期会合唱団
       管弦楽:京都市交響楽団

 紀元前50年のガリア地方。
 ドルイド教の指導者である女祭司ノルマは、かつて敵であるローマの地方総督ポリオーネと愛し合い、二人の子供をもうけている。
 しかし、ポリオーネの愛は若い巫女アダルジーザに移り‥‥。

 指揮の大勝さんは03年に《カルメン》(名古屋二期会)、《ばらの騎士》(関西二期会)、05年に《タンホイザー》(関西二期会)と聴かせていただいています。
 今回の《ノルマ》では、細やかなテンポの揺らぎや間の取り方が実に音楽的で、「歌手も指揮に合わせるのが大変だろうな」と同情しつつ、指揮者に見とれていました。

 松本さんの演出は、「音楽の友」に写真が出るでしょうが、スケールの大きい実に立派な舞台装置で、また照明が美しい。
 僕は舞台装置なしでも感動できる時は感動できるんだけれど、これだけ美しい舞台を見せられると、やはり舞台装置はあった方がいいかなと宗旨替えしそうになります (^_^ゞ。

 演技プランもまったく納得できるもので、ノルマとアダルジーザ二人の女性の苦悩にはつくづく同情しました。
 ポリオーネはピンカートンでしょうか、本当にひどい男で火あぶりになって良かった (^_^;。

 魅力にあふれたベッリーニの音楽、生き生きとした指揮、スケールの大きく美しい舞台、役に成り切ったキャスト、迫力のある合唱、全てに恵まれて、総合芸術としてのオペラを心から楽しんできました。
 演出家の勝手気ままがまかり通っているヨーロッパのオペラハウスより、ずっと上質な公演がここにあるんだと、強く訴えておきたいですね。
 これだけの舞台を作るのは経済的にも大変であったろうと、関西二期会には感謝しております。


 オペラ公演予告によれば、10月に《魔笛》。
 これは行かない、《魔笛》だから (^_^ゞ。

 来年10月は飯守&松本コンビで《ナクソス島のアリアドネ》。
 これには困った。
 飯守泰次郎先生&関西二期会の《ナクソス島のアリアドネ》は05年9月の関西フィル定期で見て、オペラとして十二分に満足しているから。

 松本さん演出の《ナクソス島のアリアドネ》は関西二期会(98年10月)で見ているので、同じ演出ならつまらないし‥‥。
 まあ来年のことだからゆっくり考えるとして、松本さんには第一幕は舞台裏の小部屋なので、それにふさわしい演出をしていただきたい(前回はそうではなかった)、とお願いしておきましょう。
 
 
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